とむらい師たちのレビュー・感想・評価
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勝新太郎主演で三隅研次監督の現代劇は、珍しい印象だか・・
原作は「火垂るの墓」の野坂昭如。
熾烈な争いのある葬儀業界で、死者を本当に弔う事にこだわる一匹狼のデスマスク屋の勝新。
自分の理想的な葬儀を、仲間達と目指して奮闘する。
前半とてもギャグとテンポが良くて、斬新なアイデアでのし上がるところが、とても面白い。
しかし後半の展開からタッチが変わり、自分の理想的と現実に疑問を持った勝新が、仲間達と別れて1人で別の葬式展示博を始めるところから、失速する。
彼の考える葬儀展示博も絵面だけみると、殆どの蝋人形館だし、資金のいる商売には変わらない。
そして評判の驚愕のラスト。
核戦争が起きて1人生き残った勝新が、廃墟の荒野を彷徨う終わりは、凄いが印象だか、実は原作に忠実でしかも、核戦争後の惨状は原作だともっとエグい。
三隅研次の切れ味や様式美はやはり時代劇やアクションで発揮されるのか?
名匠宮川一夫の撮影も個人的にはあまり生かされてないと感じた。
昭和特撮ファンには、お馴染みの曽我町子の若き姿が見られてのは、ちょっと嬉しい。美しくて台詞もしっかり聞ける。
舞台が大阪なので、2年後に控えた大阪万博の予定地を空撮で撮った映像は貴重。
そういえば、ライバル葬儀屋の財津一郎が名物ギャグの「きびしーいっ」を言った時は場内で受けていた。観客の年齢層高い。
☆☆☆☆ これは面白い。似た様な題材には、'あの'『おくりびと』が...
☆☆☆☆
これは面白い。似た様な題材には、'あの'『おくりびと』が存在するが、このアナーキー振りに参る人は多いだろう。とにかく、万博予定会場を霊柩車で疾走するなど、現在では不可能だと思う。工事中の新国立競技場をコメディー映画が撮影する等、とても考えられないからだ。前半観客を大いに笑わせた映画だが、後半では一気にシリアスな展開へと様相を変える。観ていて、黒澤明の『生きものの記録』を想起させ、映画は次第に迷宮地獄へと迷い込む。
2016年2月10日 国立近代美術館フィルムセンター大ホール
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