「The Longest Day Theme」どこまでもいこう いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
The Longest Day Theme
邦題『史上最大の作戦』の主題歌を、高らかに鳴り響かせ、劇中にもピアニカと縦笛等々で演奏するシーンの差込は、自分はその映画は未鑑賞なのだが、相当監督に思い入れがあるのだろうか 小学校5年生の男の子2人が、思春期と今迄の悪戯とのクロスオーバー、そしてフェードの交差が切なくスクリーンに粗い映像で描かれるノスタルジージュブナイル作品である
但し、作劇としては、かなりの悪党であり、それこそ勇ましいマーチに相応しい暴れッ振りが目に余るのは、オーバー演出なのかもしれない 冒頭ヤクルトおばさんからケース毎盗み取るは、5年になってクラス替えでバラバラになった2人がそれぞれのクラスのガキ大将として、喧嘩の対抗戦を行なわせるは、極めつけはロケット花火を拳銃の先に付けてのロケットピストルと化した火遊び 中学生にも悪戯をして追いかけ回されるなんて、中々の度胸の据わった2人である 追いかけられていた男が鞄を落とし、その鞄を拾ったら金が入っていて山分けしていたら丁度テレビ取材に立ち会い、その放送に、その時の鞄が映り込んでいたりと、キワキワの危なっかしい行動に、小学生の悪戯以上の犯罪性を醸し出す演出は今の時代の生温さからすれば、中々のショッキングなシーンの連続だ
でも、主人公の男の子が段々と大人の階段を登る姿が多くなっていく 好きな女の子の部屋を双眼鏡で覘く(団地っ子同士)ことや、手先が器用で発明するのが好きだったが、それ以上にジオラマや絵画が上手い同級生に憧れを抱く事、相棒に新しい友人が出来、それが輪を掛けてもっと悪い輩だったりと、どんどん自分も周りも変化していく事に焦燥感を募らせる流れはとても面白い
クライマックスは、ジオラマを貰った同級生の誕生会に、その同級生の母親の過保護の度合いが強い事に遠慮して、ブッチして相棒と海に出掛けてしまうのだが、後日、同級生は転校で居なくなってしまい、実は母親がノイローゼで自殺してしまったという真相が明かされ、今迄自分勝手に生きてきた主人公が、もしかしたら自分のせいかもしれないと初めて他人を慮る気持を持ち始める流れは、徐々に大人の準備を、プラモデルの如く組み立てているようで、その心の痛みが充分に描かれているのである
ラストの小高い丘での、初恋の女の子からのさりげないプレゼントに喜びを爆発させる主人公の将来に幸有れと願うばかりだ