東京日和のレビュー・感想・評価
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年取って、新たな感動
1997年の公開時に映画館で見た時より、28年経って、自分も年を取って、新たに心に響くものがありましたね。公開当時、竹中さんと仕事上で関係があり(直接じゃないですけど)、次回作は荒木経惟・陽子夫妻を撮るとか、初めてドルビーステレオで製作できるとかという話を聞いていて、シナリオ決定稿もその伝手でもらいました。
島津夫妻の愛情あふれているけど、ちょっと危なっかしい関係が、公開当時はあまり理解ができませんでしたが、今回はその切なさに気づき、更にに大貫妙子さんの劇伴がピッタリ合っていて、どんどん引き込まれて行きました。いろんな映画監督がカメオ出演されているのが楽しかったですし、最後のシーンに荒木さんご自身まで。
今日のトークショーで竹中さんもおっしゃっていましたが、当時の東京の風景がいろいろ出てきて、それも懐かしかったですね。銀座のイエナ書店の看板とか、旧型の電車とか。
今回はブルーレイディスクでの発売記念のイベントで、ソフトの方はデジタルリマスターされたもののようですが、今夜は当時の35mmフィルムでの上映。ちょっとぼんやりした映像に、久々にフィルムの巻の切り替え時に画面右上に〇のマークが出るのを見ました。ちょっと音声のトレースがうまくなかったようで、時折音声が妙に響いたような感じになっていたのは残念でした。
もらった決定稿を見ながら、今日映画館で買ったブルーレイで、もう一度見直そうと思います。
深層心理を演技にて表現する
センチメンタルな旅
写真家荒木経惟と愛妻陽子をモデルにした映画。実際の陽子さんのメンタルは問題なかったと思うけど、本当のところは、どうだったのかな。陽子さんのおかげで、写真家アラーキーが世に出たことは確かだが。にゃんこが茶トラなのは、何でや。せめて白系にしてくれい。あのバルコニーはセットだよね。写真でよく見た、本物の荒木家のようで、なんかうれしかった。
陽子が舟の中で眠るところは、アラーキーの写真になぞってあって、ここは見どころ。あと、野の花を片手に走ってくるシーンは、ズルいくらいかわいい。その傍らに、車掌役でアラーキーの姿。いい笑顔だ。この作品、友情出演が多く、中島みゆき、映画監督の森田芳光、塚田晋也、中田秀夫、周防正行がちょい役で出ている。ちょっとしたゲーム感覚で探すのも一興。
アラーキーの妻への思いと、竹中直人の中山美穂への思いが重なったような、ラブレター映画。
BS松竹東急の放送を鑑賞。
慈しむまなざし
夫婦の何気ない日常を、丁寧に愛の在る目で描いた作品です。
いい意味で、小津安二郎にリスペクトされて・・・
ストーリーの展開ひとつひとつに無駄がなく、引き込まれます。
写真家が妻を見つめる、慈しむまなざし。
それが随所に表現されています。
普通なら嫌いになりそうな出来事でも、そのまなざしは変わることはなく。
旅行に行って妻を見失い、船の上で寝ている所を探し出すシーンが大好きです。
台詞もいい物がたくさんありました。
妻『あなた、私に優しすぎやしない?』(浴衣を着た妻)
写真家『え、それ、どういう意味?』(妻を見つめる・・)
妻『あんまり見ないでほしいのよ、私はただ歩いているだけよ』
写真家『わかったよ、これからあんまり見ないようにするよ』(少し嬉しそうに・・)
死に別れた妻の、小さな真実に気づき写真家は涙を流す。
こんな関係を築けたら幸せだなぁと思います。
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