東京流れ者のレビュー・感想・評価
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解散したヤクザの倉田組。 「不死鳥の哲」の異名をとる男(渡哲也)は...
解散したヤクザの倉田組。
「不死鳥の哲」の異名をとる男(渡哲也)は、親分の倉田を慕っている。
倉田組と敵対していた大塚組は、倉田の持ちビルを狙っており、ビルが抵当に入っていることから罠を仕掛ける。
その罠の中で、倉田も大塚も人を殺してしまう羽目になり、大塚は秘密を知る哲を狙う。
哲の身を案じた倉田は、庄内の舎弟のもとに哲を預けるが、大塚は殺し屋(川地民夫)を差し向ける・・・
といったと物語で、そこへ哲の恋人・千春(松原智恵子)と兄貴分的立ち位置の一匹狼(二谷英明)が絡んでくる。
庄内の後は佐世保へ舞台を移し、最終的には東京へ舞い戻るストーリーは、言っちゃ悪いがと、まぁ出鱈目。
全編を「東京流れ者」ほかの歌曲が彩っているが、それが出鱈目感を強調することになっている。
出鱈目だけなら飽きてしまうのだが、飽きないのは演出が強烈で、冒頭のモノクロ映像のギラギラ感(操車場でのロケも素晴らしい)、簡潔な室内セットの色彩、短いカット尻、アップでの場面転換など、常套でないケレン味たっぷりの演出が魅力。
(そんな演出をせざるをえないほど、予算が少なかったのではないかと思料するが)
そういう意味では「カルト映画」そのもの。
なので、若い世代の監督は、あまりお手本にしてほしくない演出なのだが、結果的にはモノマネやオマージュが増えたような・・・
すごい!と思うけれど、やっぱり、点数は高く出来ないのよ。
妙に心に残る
地名はあるけどどこだか分らない場所。原色のセット、派手なネオンサイン、冬なのに水色のスーツ、松原智恵子に全くあっていないアフレコ、なぜか自殺してしまう殺し屋とか、訳が分からないけど。西部劇みたいなドタバタや決闘シーンも捨てがたい。
繰り返し流れる渡哲也のテーマソングも残る。こういうのニモの時もそうだった。
まだ映画全盛期、二本立ての時代だから、こういう冒険もできたのか?
なぜかまた見たくなる。
楽しかった
この当時の渡哲也は、20年前に死んだ父に顔が似ていて好感度が高い。3回頭に来たら手が付けられなくなるという役でワクワクしたのだが、そんなカウントダウンは特になかった。ヤクザ同士の金と不動産のやり取りが、あんまり意味が分からない。
あれだけ慕っていた親分から裏切られるなど、ひどい話であるのだが全体的に明るくて楽しかった。舞台みたいな美術と演出もよかった。
半分娯楽・半分芸術
なんとなくストーリーが行き当たりばったりな感じがしました。ですから見ていて中盤ぐらいまでは、あまり面白くなかったです。しかし後半から急に盛り上がりだして、特にクライマックスの部分が最高でした。普通の映画のような、いかにも映画的なアクションシーンではなく、まるで舞台のような、芸術的に作り出した感じの作為的な人工的なクライマックスが用いられています。登場人物たちがそれぞれ単色のスーツを着てるとか、色の使い方やセットの使い方が独特でディレクターの才能を感じました。これは、とても高度な試みを成功させている映画だと思います。
いい感じの肩透かし感
ニコラス・ウィンディング・レフンが大ファンと公言しているので観てみたが、つげ義春のねじ式みたいな世界観だった。
クライマックスの白い部屋とか忠臣蔵的セットでのドンパチ。
不自然なリアリズム映像の中に独特の陶酔&酩酊する感覚は確かに通じている。
しかし、ストーリー自体はめちゃくちゃ強いが義理に固い主人公が結果嵌められ、復讐するという至ってシンプルなものだったので、ちょっと肩透かし感が…
ジム・ジャームッシュとか難解お洒落系の監督がフェイバリットに挙げる作品だけあって、雰囲気はいいのだが、ちょいともう物足りない。
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