東海道四谷怪談のレビュー・感想・評価
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伝説の名作
京都文化博物館にて、中川信夫監督の「東海道四谷怪談」を鑑賞。
以前この映画を観たのは学生の時だと思う。確か「地獄」とまとめて観た気がする。何で観たのか…レンタルビデオか、深夜のテレビ放送だったか、それとも同じ文化博物館での上映だったか…それが記憶の彼方にあり定かではない。ただ、かなりショックを受けた事だけは憶えている。
今回、再見する機会を得て、やはり驚いた。全然古びてない画面構成と大胆なカット割り。印象的な色使いに時折入るカットインは、まるで現在でいうドラッグムービーのよう。流石名作!
そして、民谷伊右衛門役を演じる天知茂さんの、何て気高く妖艶な事よ。こんな色気を出せる俳優さんが現在いるだろうか?
この作品を令和になってもスクリーンで観れるなんて!本当に感謝です!
惜しむらくは、文化博物館所蔵のFilmによる上映なので、経年劣化の為か色褪せがおこってました。この作品こそ、4Kリマスタリングで観てみたいです。どこかでやってもらえないかなぁ。
この恨み晴らさでおくべきか!
やっぱり、民家伊右衛門って、どうにもならないクズ男。と言うよりも、連続殺人鬼。
しかし、髪の毛が抜けてしまう様な毒って、なんの毒だろう。
あれか?
ガキの頃見たのはこの映画だと思う。
世の中にこんな悪い男いるのかと思った。親父が一緒に見ながら『民家伊右衛門はグズだ。お前もこうなるなよ』って言って、晩酌していた。親父はDV親父だったが『ウツ、カウ』はやらなかった。『飲む』は死ぬ5年前まで飲んでいたが。
夏は怪談 ジャパニーズホラーの源流 スタンダードを観ておくことは意味も意義もあることだと思います
怪談と言えば夏
そして怪談と言えばお岩さん
そう四谷怪談です
江戸時代から、怪談ものの定番として芝居や落語など数多く取り上げられています
無論、映画も無数にあります
映画ならその中でも本作が決定版だと思います
日本映画オールタイムベストの一角にリストアップされる程なのですから
1959年の公開
当然、白黒と思ったらカラーで驚かされます
歌舞伎の筋書きを翻案して要領よくまとまっています
むしろこちらが今ではスタンダードとなっているかも知れません
演出も素晴らしく、カメラ、照明、美術、どれも一級品です
ジャパニーズホラー映画の源流は本作にあると思います
お岩さんの特殊メイクは現代の目からみても十分なクォリティーです
有名な名場面である、顔が腫れ上がって髪を梳くとボソッと抜けてしまう「髪梳き」、戸板の両面で女と男の亡霊が入れ替わる「戸板返し」がしっかりと映像化されています
伊右衛門の按摩男の宅悦を殺害するシーンでは、なんと腕が切断されて宙に舞うほどの強烈さも見せます
その映像クォリティーもなかなかのものでした
貞子も本作から連綿とつながっている伝統の延長線の上にあると納得できると思います
2021年の夏
もう直ぐ本当なら、隅田川花火大会
今年もコロナ禍で中止です
本作では伊右衛門がお岩に毒の入ったお茶を与えます
お茶に毒薬を入れた時、両国の花火が大きな音を響かせます
見事な演出でした
伊右衛門を演じた天知茂は惚れ惚れします
男の愛と欲、酷薄さと弱さ
それらが同時に存在する様を見事に演じています
ラストシーンは成仏していくお岩の美しいシーンです
まるで聖母マリアのピエタのような白い幻が昇天していくのです
呆然とするような美しいラストシーンです
観客の心までが浄化されていくものです
コッポラ監督が、「世界のオカルト映画の中で最高傑作だ」と言ったというのも頷けます
カタルシスがあります
長屋裏手の隠亡堀はいまの江東区の砂町辺りらしいです
オレンジ色のように見える堀の水は、本当は血の色だったそうですがフィルムの発色が上手くいかなかったそうです
夏は怪談
ジャパニーズホラーの源流
スタンダードを観ておくことは意味も意義もあることだと思います
昭和のお化け屋敷
昭和のお化け屋敷はこれの再現と知った。
ドロドロ音、うらめしや、戸板が回転してバーン、色付き照明。
初見でも懐かしい。
そう言えば昭和、お化けは既に済んだ江戸時代のものだったかも。
平成で貞子として現存の事と蘇った。
個人的な怨みから匿名の傍観者への怨みに変わり。
スチール画像とか
そんなのは見る機会があっても中々作品自体を観ることは叶わなかったが、ふとVODを見ると並んでいたので、初鑑賞する事になった。
何しろ60年前の作品である。新東宝など名前でしか知らないので始まった途端に「配給は新東宝だったのか?」と驚いてしまった。
全編に渡って民谷伊右衛門の身勝手さや中途半端な悪党感に「なんじゃコイツは?」と腹立たしい。
己の欲望の為に邪魔のなるものを何とかしたいのだが、それも直助に聞いては偉そうに「妙案があるのか?」と人頼み、自分では何にもしない。
相反して直助のクズっぷりは堂にいっており、まさにズルい小者で自分では決められない伊右衛門をリードしていく。
可哀想なのはお岩さんである。
貧乏暮らしに飽きた伊右衛門に邪魔扱いされても尽くそうと頑張るいじらしさなのに。
もう1人可哀想なのがお梅とその家族である。伊右衛門の剣術と見栄えに引っ掛かり、乱心した伊右衛門に殺されてしまう。
ついでに金貸しの生臭アンマの宅悦、スケベ心はともかく優しさは伊右衛門よりも遥かにマシで邪な想いもあるが、今までお岩さんにちょっかい掛けてない紳士ぶりに、割と良い奴感すら感じる。
この時代、あまりにも女性の扱いが酷いので女性の立場向上ってこんな時代から必要だったと思う。
作品自体は実に短くまとめてあるので、この後の始末はどうなった?とか気になる点も幾つかあるが、この作品こそが「THE四谷怪談」だとは思う。
昔はお岩さんの映画を撮るときはちゃんとお墓参りしてお祓いしてた話を聞いたものだった。呼び捨てもいけないと言う話を聞いた時から今でも呼び捨てするのに抵抗が発生するほどだ。
それほどにお岩さんは怖れられていた筈だが、今はあんまり聞かないなぁ。
映像が印象的でした
四谷怪談はいろんな解釈があるし、沢山映画化されているし、忠臣蔵も関係あるし、浮世絵でも歌舞伎でも小説でも(例えば京極夏彦『嗤う伊右衛門』)取り上げられていて大好きな話です。
この映画は、映像がとても実験的というか斬新だった記憶があります。天地茂の伊右衛門、良かったと思います。
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