東海道四谷怪談のレビュー・感想・評価
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幻想と情念の世界‼️
そのおどろおどろしい演出に、いつ観ても背筋が凍りついてしまう日本怪談映画の最高傑作の一本ですね‼️物語はあまりにも有名な伊右衛門とお岩による「四谷怪談」‼️人間には誰しも良心・邪心というものがあると思うんですが、その邪心から湧いてくる欲望と、それに伴う暴力が、結局自らを滅ぼしてしまうという、情念のこもった教訓を残してくれる映画でもあります‼️中川信夫監督の演出も、美しい様式美とおどろおどろしい技巧が冴えわたってますよね‼️前半は比較的おとなしいんですが、毒を飲まされたお岩の髪の毛が抜けて、凄まじい面相になるおなじみ「髪すきの場」からぐんと盛り上がります‼️お岩と宅悦が打ちつけられた戸板に、二人の亡霊が天から舞い降りるように現れる‼️亡霊を振り払おうとして関係ない者を斬り殺してしまう伊右衛門‼️精神に異常をきたした伊右衛門の足元に現れる無数の蛇‼️畳の上でお岩を斬った伊右衛門の周りが瞬時に堀へ変わったり‼️天知茂さんのニヒルな熱演もホントにスゴい‼️そして怪談女優の筆頭、若杉嘉津子さん‼️「恨めしや伊右衛門、この恨みはらさずにおくものかー!」何という恐ろしいセリフ‼️ぐっしょり濡れたためにおぞましさが倍加したお岩‼️どこにでも現れ、逃げる伊右衛門をどこまでも追うお岩‼️ラスト、恨みを晴らしたお岩の霊が、昇る朝日の中を赤子を抱いて昇天していくその姿は、ひたすら眩しく、そしてとても美しい‼️昨今の国内外のSFホラーが束になってもかなわない名作ですね‼️
【”この恨み晴らさで置くべきか・・。”熱帯夜にはヤッパリ正統的日本怪談時代劇だね!アイドルホラーよりも、ずっと情念が籠っていて怖い怖い。で、令和の時代にこの映画を作ることを考えて見たの巻。】
■備前岡山で結婚しようとしていたお岩(若杉嘉津子)の父・四谷左門が心変わりをした事で斬殺した浪人民谷伊右衛門(天知茂)は、その事実を隠し、お岩と妹お袖を連れて、四谷左門を斬った者を探すと言い、江戸に移り住む。
その途中で、四谷左門の手下で伊右衛門に悪事を吹き込んだ直助はお袖の恋仲である与茂七を、伊右衛門と共に滝つぼに落とす。
だが、ある日、伊藤喜兵衛の娘・お梅(ナント!池内淳子)を絡んできた男達から助けたことで立身の道が開けた伊右衛門は、お梅との祝言を決意し、直助の悪魔の囁きもあり、邪魔になったお岩の毒殺を計画するのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・令和の時代、中学生や高校生の方々はどれだけ、日本三大怪談と言われている”東海道四谷怪談”や、”番町皿屋敷“や”牡丹燈籠”を知っているのだろう、と今作を観ながらふと思ってしまったのである。
それくらい、この今から65年前の怪談物語は良く出来ているのである。
・伊右衛門の立身出世を求める思いと、そこに入り込んで来る直助の悪魔の囁き。それに抗えずに、言いなりになり子も出来たお岩に対しての、毒を盛る余りにも惨い仕打ち。
更には、お岩には嫌らしい僧侶、宅悦との密通の罪を着せようとする企み。そして、宅悦が毒を盛られたが故に、顔が醜く腫れあがったお岩の顔を見て仰天する中、お岩は悲観して首を掻き切り自害し、宅悦は伊右衛門により切り殺され、不義密通をしたモノとして戸板に2名を貼り付けにして、流すシーンは実に惨くも怖いのである。
・演出も本格的で、随所に使われる本物の蛇。直助の足に多数の蛇が絡まるシーンは気持ち悪い事限りなし。
あとは、戸板に打ち付けられたお岩さんが、天井に張り付いて居たり、水の中から浮かび上がって来たり・・。怖いなあ。
■で、思ったのであるが、もし中学生や高校生の方々の多くが、”東海道四谷怪談”を知らないとすれば、今作を人気俳優を起用して公開すれば、全世代に受け入れられるホラー映画になり、大ヒットするのではないかと思ったのである。
で、脳内でキャスティングしてみたのである。
1.まずは、伊右衛門
・・この人は直ぐに決まった。横浜流星さんである。我ながら、ピッタリである。
2.宅悦
・・ウーム。内山信二さんなんて、どうでしょうか。
3.問題のお岩
これは、ムズカシイ。
大体、キャスティングを受ける女優さんって、いるのかなあ。
どこか、儚げで大変に美しい純和風の女優さんと言えば・・、
ヤッパリ、浜辺美波さんではないだろうか。
説得が大変であろうが、受けてくれたら大ヒット間違いないと思うのだがなあ。
<今作は、正統的日本怪談時代劇であり、実によくできているし、情念もバッチリである。名品であると思う。
で、私の案を何処かの映画会社さん。真面目に検討してくれないかなあ。大ヒット間違いなしだと思うのだけどなあ。
横浜流星さんと浜辺美波さんのファンの方々、怒っちゃ嫌よ。>
お盆に観に行きました
白黒の怪談映画といえば大映「雨月物語(溝口健二)ですが、カラー映画の怪談映画は間違いなく新東宝のこの作品でしょう。
白黒でのスチール写真(お岩さんと伊右衛門)を見かけるが、そちらの方が想像力が働かせて怖いですね・・・
伊右衛門役の天知茂は昭和に放映されていた
土曜ワイド劇場の明智小五郎シリーズが印象深いのですが、新東宝ではスターだったんですね。
付人のチャラい直助、ほんとこういう奴いそう〜ある意味、彼が物語を盛り上げてるような・・・
作品全体としては、なんかモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」に似てるような気がします。
時代劇評論家の春日太一さんが天知茂は、やられ芸(仕返しにあう)が上手いと言っておられたが、この作品での最後のシーンでは結構魅せるなぁ〜品格のある俳優さんで、彼の新東宝時代の「憲兵と幽霊」や「黄線地帯」もいつか観てみたいです。
伝説の名作
京都文化博物館にて、中川信夫監督の「東海道四谷怪談」を鑑賞。
以前この映画を観たのは学生の時だと思う。確か「地獄」とまとめて観た気がする。何で観たのか…レンタルビデオか、深夜のテレビ放送だったか、それとも同じ文化博物館での上映だったか…それが記憶の彼方にあり定かではない。ただ、かなりショックを受けた事だけは憶えている。
今回、再見する機会を得て、やはり驚いた。全然古びてない画面構成と大胆なカット割り。印象的な色使いに時折入るカットインは、まるで現在でいうドラッグムービーのよう。流石名作!
そして、民谷伊右衛門役を演じる天知茂さんの、何て気高く妖艶な事よ。こんな色気を出せる俳優さんが現在いるだろうか?
この作品を令和になってもスクリーンで観れるなんて!本当に感謝です!
惜しむらくは、文化博物館所蔵のFilmによる上映なので、経年劣化の為か色褪せがおこってました。この作品こそ、4Kリマスタリングで観てみたいです。どこかでやってもらえないかなぁ。
夏は怪談 ジャパニーズホラーの源流 スタンダードを観ておくことは意味も意義もあることだと思います
怪談と言えば夏
そして怪談と言えばお岩さん
そう四谷怪談です
江戸時代から、怪談ものの定番として芝居や落語など数多く取り上げられています
無論、映画も無数にあります
映画ならその中でも本作が決定版だと思います
日本映画オールタイムベストの一角にリストアップされる程なのですから
1959年の公開
当然、白黒と思ったらカラーで驚かされます
歌舞伎の筋書きを翻案して要領よくまとまっています
むしろこちらが今ではスタンダードとなっているかも知れません
演出も素晴らしく、カメラ、照明、美術、どれも一級品です
ジャパニーズホラー映画の源流は本作にあると思います
お岩さんの特殊メイクは現代の目からみても十分なクォリティーです
有名な名場面である、顔が腫れ上がって髪を梳くとボソッと抜けてしまう「髪梳き」、戸板の両面で女と男の亡霊が入れ替わる「戸板返し」がしっかりと映像化されています
伊右衛門の按摩男の宅悦を殺害するシーンでは、なんと腕が切断されて宙に舞うほどの強烈さも見せます
その映像クォリティーもなかなかのものでした
貞子も本作から連綿とつながっている伝統の延長線の上にあると納得できると思います
2021年の夏
もう直ぐ本当なら、隅田川花火大会
今年もコロナ禍で中止です
本作では伊右衛門がお岩に毒の入ったお茶を与えます
お茶に毒薬を入れた時、両国の花火が大きな音を響かせます
見事な演出でした
伊右衛門を演じた天知茂は惚れ惚れします
男の愛と欲、酷薄さと弱さ
それらが同時に存在する様を見事に演じています
ラストシーンは成仏していくお岩の美しいシーンです
まるで聖母マリアのピエタのような白い幻が昇天していくのです
呆然とするような美しいラストシーンです
観客の心までが浄化されていくものです
コッポラ監督が、「世界のオカルト映画の中で最高傑作だ」と言ったというのも頷けます
カタルシスがあります
長屋裏手の隠亡堀はいまの江東区の砂町辺りらしいです
オレンジ色のように見える堀の水は、本当は血の色だったそうですがフィルムの発色が上手くいかなかったそうです
夏は怪談
ジャパニーズホラーの源流
スタンダードを観ておくことは意味も意義もあることだと思います
昭和のお化け屋敷
スチール画像とか
そんなのは見る機会があっても中々作品自体を観ることは叶わなかったが、ふとVODを見ると並んでいたので、初鑑賞する事になった。
何しろ60年前の作品である。新東宝など名前でしか知らないので始まった途端に「配給は新東宝だったのか?」と驚いてしまった。
全編に渡って民谷伊右衛門の身勝手さや中途半端な悪党感に「なんじゃコイツは?」と腹立たしい。
己の欲望の為に邪魔のなるものを何とかしたいのだが、それも直助に聞いては偉そうに「妙案があるのか?」と人頼み、自分では何にもしない。
相反して直助のクズっぷりは堂にいっており、まさにズルい小者で自分では決められない伊右衛門をリードしていく。
可哀想なのはお岩さんである。
貧乏暮らしに飽きた伊右衛門に邪魔扱いされても尽くそうと頑張るいじらしさなのに。
もう1人可哀想なのがお梅とその家族である。伊右衛門の剣術と見栄えに引っ掛かり、乱心した伊右衛門に殺されてしまう。
ついでに金貸しの生臭アンマの宅悦、スケベ心はともかく優しさは伊右衛門よりも遥かにマシで邪な想いもあるが、今までお岩さんにちょっかい掛けてない紳士ぶりに、割と良い奴感すら感じる。
この時代、あまりにも女性の扱いが酷いので女性の立場向上ってこんな時代から必要だったと思う。
作品自体は実に短くまとめてあるので、この後の始末はどうなった?とか気になる点も幾つかあるが、この作品こそが「THE四谷怪談」だとは思う。
昔はお岩さんの映画を撮るときはちゃんとお墓参りしてお祓いしてた話を聞いたものだった。呼び捨てもいけないと言う話を聞いた時から今でも呼び捨てするのに抵抗が発生するほどだ。
それほどにお岩さんは怖れられていた筈だが、今はあんまり聞かないなぁ。
映像が印象的でした
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