「2 デュオ」2/デュオ tyshiさんの映画レビュー(感想・評価)
2 デュオ
2/デュオを見て思ったのは、作り手側の存在をあえて感じさせるような作りになっているということだ。客は2人の演技に集中するのだが、ところどころカメラのかくついた動きや、フォーカスの甘いところ、人物を全く映さない画角といった、ある意味違和感のある、これはカメラこれで大丈夫?と言うようなカットがいくつも存在する。
それは悪いことのように思えるが、実は狙っている可能性が高い。カメラが不自然なのに、お芝居があまりにも自然だからバグるんだ。2人の世界に引き込まれたと思ったら、突然カメラの存在を意識し、現実に引き戻される。
だからこそ、2人のことを客観視している第三者の視点(カメラの内側の存在)を意識せざるを得ない。だからこそ、途中ではあるインタビューのような形式の映像も違和感がない。もともとカメラというものを通して見ていることを客は前提として見ているからだ。
また、2人のお芝居を即興かつアドリブでライブ感のあるものにしている理由の一つにカメラがある。時折、カメラマンがどこを写していいのか、何を映すべきなのか分からなくなっているようなカットがある。人物が鏡を見たら、鏡に振るのだが、ふった時にはもう人物は鏡を見ていない。こういったカメラと演者の齟齬が生まれる感覚が不思議なライブ感を生み出していると感じる。
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