劇場公開日 1997年8月2日

「決まりきったものからの逸脱」2/デュオ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0決まりきったものからの逸脱

2018年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

第40回ぴあフィルムフェスティバルにて。
20年以上前に多分月刊カドカワでこの映画について語る柳愛里のインタビューを読んだ。ようやく映画を観ることができたので意味もなく安堵している。
即興で撮った事は知っていたが、カメラワーク含め(カメラマンたむらまさき追悼特集で観たから余計かもしれないが)、予定調和感が全くなかった。初っ端から柳愛里は西島秀俊に完全に被り、かと思ったらカメラから消えてしまう。最後の方では暗すぎて表情が全く見えないという状況になる。ある種緻密な映画では起こり得ない事ばかりなのだが、観ていてもそこに違和感は感じない。
物語は、壊れた男女(特に壊れゆく女)を残酷なまでに捉えており、観ている間中緊張感が抜けず、一切の弛緩がない。分かりやすい壊れ方なのにリアリティが凄まじかった。特に、柳愛里の笑い。当然自然に出てくる笑いなのだが、あれが不自然なまでに自然だ。人ってああいう風に笑うんだな、と思った。
西島秀俊は今の彼のファンが見たらキレそうなクソ男役でしたが、完全に自分で自分を持て余している感じを強烈に発散させていて、とても良かった。
ラストが意外でした。

andhyphen