「純愛を貫いた夫婦の悲しい名作。」妻の日の愛のかたみに 西海一久さんの映画レビュー(感想・評価)
純愛を貫いた夫婦の悲しい名作。
最初にこの作品のレビューをさせて頂く事に名誉と感じ感謝したいと思います。
この日本映画、忘れられない印象深い悲しい映画です。
最初に見たのは小学生の時だったと思います。
印象に残るのは、夫役の船越英治が身体が動かなくなる不治の病にかかった妻役の若尾文子さんを必死で守ろうとする姿が忘れられません。!
(親戚から離婚を迫られるが断固拒否するシーンは男子たる者、斯くあるべきと思いました。)
また、妻役の若尾文子さんも夫に迷惑をかけまいとするその言動にも心を射たれます。!
妻の役割が出来ないと悟った妻若尾文子さんは夫がいない時を見張らい昔の教え子達に協力してもらい気丈の決意で実家に帰る。
それを知った夫はすぐさま妻の実家に向かう。!
この実家の妻の母がまた気丈である。!
夫である船越英治に対し「あれはもう体がなくて 心だけしか生きていません、その心があなたの幸せだけを願っています。
もう、かきみださないでやって下さい。」
と言いながら合わせないのである。!
それに対し夫は「その心だけでいい。」と言う。
何とも切ないシーンである。!
人を愛すると言う事は
その人の幸せを第一に考えると言う事をこの映画で一番言いたかった事と思います。!
昨今、身勝手な理由で女性に手をかける男どもが余りにも多い。
この映画を見て反省しなさいと言いたい。!
最後にこの映画で忘れられないシーンは、冒頭の小舟に乗った花嫁姿の若尾文子さんのシーンとラストの「目の中に見えるのはあなたの事ばっかり……」と回想し、夫からもらった人形を床の横に置き、
「 妻の日の 愛のかたみよ あどけなく 髪亜麻色に座る人形。」
の詩を謳って終わる所です。!
こんな悲しいラストは後にも先にもありません?
互いにまだ生があり愛情があるがゆえに離ればなれに、ならなければならない状況。
日本映画の中でも屈指の悲しい名作です。!