「死者と生者が織りなす幻想綺談」ツィゴイネルワイゼン シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
死者と生者が織りなす幻想綺談
初めて観る鈴木清順の晩年の作品です。正直言って何が何だかわからないけど、八方破れみたいなインパクトのある映像が強烈です。元大学教授で風来坊の中年男が、芸者や友人の妻と関係しながら周囲を巻き込んでいくお話しだけど、ストーリーはあってないような感じです。映画は、鈴木清順が即興で考えたような鮮烈なショットを積み重ねながら、死者と生者の境界があいまいな、だからこそ妙にエロチックで幻想的な空間を醸し出しています。ある意味,映画の形を借りた前衛的な即興劇を観せられた気分です。役者では、原田芳雄が、これ以上ないくらいの真っ正面からの体当たり演技で、主人公を体現しています。大谷直子の幽玄的な立ち居振る舞いも見事でした。
コメントする