劇場公開日 1973年11月22日

「サラリーマン残酷物語」ダメおやじ みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5サラリーマン残酷物語

2016年3月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

監督が野村芳太郎、撮影が川又昴の『砂の器』のゴールデンコンビ。
脚本がNHK連続テレビ小説で驚異の平均視聴率44.3%を叩き出した『澪つくし』のジェームス三木。
あゝそれなのにクスリとも笑えないダメな喜劇を作ってしまったのね。
松竹も『男はつらいよ』に続くドル箱シリーズにしたかったんだろうけど、これ一本で見事に打ち止め。
それから『釣りバカ日誌』シリーズが誕生するまで長い年月が掛かることに…。
まだ父親に威厳と言うものが存在した昭和の時代に、万年平社員で家庭でもうだつの上がらないこんなダメおやじを笑い飛ばせるほど、日本のサラリーマンもまだまだ元気があったのだろう。

それが、今じゃ日本全国ダメおやじだらけ。

そのダメおやじを松竹映画初主演の三波伸介が演じている。
これがまた気弱なデブと言うか、原作漫画のキャラとは、似ても似つかない別物となっていたのでほとほと困った。漫画のイメージだと、絶対に温水洋一だと思う。
妻のオニババと称される冬子もブサイクで肥満体なのに、倍賞美津子では可愛い過ぎるではないか。
当時は、まだドメスティック・バイオレンスと言う言葉は無かったと思うけど、とにかくダメおやじは冬子と一人息子のタコ坊にフルボッコにされる日々を送っている。
家庭内にダメおやじの安息の日は一日たりともないのだ(それでもまだ原作の漫画より暴力描写は、かなりソフトに抑えられてもいるが)。
でも結局最後は、このギクシャクした家族も無事に家庭円満に収まり、めでたしめでたしで映画は呆気なく終わってしまう。

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みつまる。