他人の顔のレビュー・感想・評価
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マスク造形のリアルさも60年近く前とは思えない出来で、令和の今観ても古さを感じさせませんでしたね。
新文芸坐さんに「安部公房生誕100年 超越する芸術・勅使河原宏との仕事」と題した特集上映。初期代表作『砂の女』(1964)『他人の顔』(1966)を鑑賞。
『他人の顔』(1966)
勤め先の化学工場での事故で顔面が損壊した主人公(演:仲代達矢氏)が、損壊のため心が離れた妻(演:京マチ子氏)の心を確認するため別人のマスクを被り誘惑する話。
顔面を包帯で巻かれたビジュアルインパクトは十分、ホラー映画と見紛う本作品ですが、同作も阿部公房氏自ら脚本を担当、カフカの『変身』のごとくマスクをすることで段々と別人格になっていく主人公を仲代達矢氏が見事に演じています。京マチ子氏も悪女でない貞淑な妻を演じ役柄の幅広さを再確認しましたね。
また本作でも勅使河原宏氏の芸術性、カメラアングルは秀逸。
特に包帯をほどき醜い顔をそのまま撮らず、手前の歪曲したフラスコ越しで捉えるカットは主人公の荒れた心象風景も表現しておりましたね。マスク造形のリアルさも60年近く前とは思えない出来で、令和の今観ても古さを感じさせませんでしたね。
前衛的
亡くなった俳優がいっぱい出ていて、思わず「若い!」と言いまくってしまった。生き残っている仲代達矢は、まだまだがんばっていただきたい。
安部公房は難しそうで読んだことないが、映画を観ても難しかった。とにかく、いろいろ前衛的だった。令和に再製作しても、テーマは十分通用するし、今時点での新しさが出ると思う。もし作るなら、主人公を長谷川博己で撮って欲しい。医者は山本耕史、妻は長澤まさみで。
最後の方の、仮面をつけた群衆が圧巻。もしかしたら同じ人がぐるぐる回っていたかもしれないけど、あの画は良かった。銀座のビアホール「ミュンヘン」や、渋谷駅(たぶん)とか、街中の景色も懐かしい。京マチ子が雑踏の中にいても、やはりきれいで、一人浮き上がっていた。
BS松竹東急の放送を鑑賞。
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