劇場公開日 1956年5月17日

「考えてみれば本作を上回る青春映画は未だに撮られていないかも知れません」太陽の季節 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0考えてみれば本作を上回る青春映画は未だに撮られていないかも知れません

2020年4月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

日本映画オールタイムベストには、狂った果実の方がリストアップされていますが、本来は本作こそが相応しいと思います

石坂裕次郎の初主演作品として注目される狂った果実より、はるかに面白いし感動します
映画としても出来は数段上なのは間違いありません

石坂裕次郎は端役ながら本作で映画に初出演しています
短いながら出番は何回もありますし、台詞も少しだけあります
画面にチラリと映り込んだだけで目がそちらに向いてしまう、周りの俳優達とは明らかに違うオーラを既に発しています
原作者で兄の石原槙太郎もチラリとワンシーンだけ出演しています

有名な太陽族とは何かは本作を見れば余すことなく理解できます
銀座の街並み、クラブのシーン、太陽族の男の子達のステンコートと崩したアイビールックの服装
葉山や逗子のビーチサイドホテルの光景
見事に垢抜けた感覚です

10年先、20年先の60年代や70年代の同種の青春映画よりもお洒落であるし、第一カッコいい!
田舎臭さは微塵もありません

演出もテンポも良く、主演の長門裕之と南田洋子の演技も熱が感じられ、二人の関係性が映画だけでない迫力も感じとれる

冒頭のタイトルバックの映像
泥のようになった路面に浮き上がる泡?のように見えます
本作の内容を象徴する秀逸な映像と思います

考えてみれば本作を上回る青春映画は未だに撮られていないかも知れません
間違いなしの不朽の名作です!

あき240