「いちばん怖くていちばん綺麗だった。」ソナチネ 盲田里亭さんの映画レビュー(感想・評価)
いちばん怖くていちばん綺麗だった。
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アクションも何も無い。ただ行為と結果がある。
ヤクザの村川は揉め事を終わらせる為沖縄に子分を連れて向かう。
徐々に殺されてゆき、最後は2人になる。そしてマシンガンを撃ち、村川は最後自殺をする。
まず、人を殺すことを肯定していない。「怖いから」と作中で言っていて、殺す事は悪い事であるとしている。
それに、北野武演じる村川も、子分が死ぬ度に得も言えぬ表情、哀しさと無感情のミックスのような表情をする。それに、マシンガンを撃つシーンでは、シナリオ的には決着であり、普通の脚本ならば嬉々としてマシンガンを撃つが、ここが北野武。寂しそうにマシンガンを撃つ。
そして、人を殺さない子分のさらに子分は逃げた(のかな?)
しかし、現実では意外と死とは大袈裟なものでは無い様に思える。私達の生活は死と表裏一体で、近くの店が閉店した理由は死が理由になっていたりする。大切な人が死ぬ事はあまり無いかもしれないが、有名人や著名人、昨日まで元気だった人が死んでしまうこともある。そういったことを考えさせられた。
喫茶店での銃撃戦のシーン。私は怖かった。かつて映画でここまで怖かったシーンはあるだろうか。何が怖いかと聞かれると分からないのだが。
エレベーターのシーンも良かった。誰も話さずに、村川が、一言名前を呼ぶ。そして、銃撃戦が始まる。他に乗っているカタギは叫ばずに、そして脅えもしない。それが衝撃だった。
とてもいい映画だった。綺麗だった。また観たい。
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