雪華葬刺しのレビュー・感想・評価
全1件を表示
【耽美の世界、ここに極まれり。赤江瀑の妖艶なエロス全開作。若き京本政樹さんが魅力的です。】
■私事で、恐縮であるが、作家、赤江瀑の存在を知ったのは彼の異能の作家の晩年である。
が、その土着文化、歌舞伎(赤江瀑は歌舞伎にも精通している。晩年、歌舞伎の本も刊行している。)などの素養を取り入れ、京都の寺社仏閣を舞台にした、蠱惑的な世界観を醸し出す書物の数々に一発でやられ、古書店を回り数年かけて、全冊揃え、読み耽った。
だが、その後、赤江瀑のアンソロジーは、定期的に発刊され、”彼の人の世界に嵌る人は多いのだなあ・・、と思ったものである。
最新のアンソロジーは、河出書房新社から、昨年6月に刊行された「赤江瀑の世界 花の呪縛を修羅と舞い」である。
嗚呼、くらくらする・・。
◆この映画の原作、「雪華葬刺し」は、赤江の数ある掌編の中でも、匂い立つほどのエロティシズムが印象的な、傑作である。
・京都を舞台にした、刺青師、「彫経」に図書館員であった、茜(宇都宮雅代)が”ある事情”から、自らの身体に
”国芳”の「本町武者鏡。橘姫」を彫って貰うのだが、その様が、凄い。
鍼の痛さを紛らわせるためか、「彫経」の弟子、春経(京本政樹)の抱かれながら、肌に”国芳”を彫られていく様。
春経の身体には、全身”国芳“が彫られているのである。はんなりとした京都弁を口にしながらの、饗宴・・・。
<嗚呼、クラクラする・・。>
コメントする (0件)
共感した! (0件)
全1件を表示