青春の海(1974)
劇場公開日:1974年9月21日
解説
純粋な生き方を求め続ける二人の若者が、現実の社会と大人たちに勢いっぱい反抗しながらも、最後には追いつめられて心中してしまうまでを描いた青春映画。原作は富島健夫の『おとなは知らない』と『青春の海』。脚本は野口渓、監督は脚本も執筆している岡本愛彦、撮影は奥村祐治がそれぞれ担当。
1974年製作/89分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1974年9月21日
ストーリー
房総半島のフェリーボートの発着する小さな港町。水野克巳は、両親は亡く、母親の残したわずかな保険金とアルバイトで通学している高校二年生。ただ一人の身寄りである水野源次が、両親の残してくれた克巳の家の名義を自分の名に変え、克巳に高校をやめさせ、自分の会社で働くように迫っていた。克巳の両親に恩を受けていた水産会社の鉄ちゃんが、話をつけようと源次の家に乗り込むが、逆に会社をやめさせられてしまった。朝日洋子は、克巳と同級生で、秘かに克巳の事を慕っている。場末で飲み屋を開いている洋子の母きよは、男にだらしなく、洋子の妹や弟もそれぞれ父親が違う。そんな家庭環境に反撥してか、洋子はいつも不良っぽい行動をとっていた。洋子の唯一の心の救いは実の父親を探すことで、誰にも知らせずに東京まで捜しに行ったりもした。ある夜、克巳は港の倉庫で暴漢に追われている少女を救った。彼女は一年上のクラスに最近転校してきた深田知子だった。克巳にとって彼女は高嶺のだったが、秘かに惹かれていくのだった。周囲に母の身持ちの悪さを引きあいに出されて、せめられ、行く所のなくなった洋子は、ある晩、克巳の家を訪ねた。「今晩泊めて」という洋子を叱る克巳だったが、洋子の事情を知り、渋々承知した。その夜二人は、互いの境遇を心を開いて話し合った。だが丁度訪れて来た源次に、二人は誤解され、克巳は殴り倒された。翌日、この事は学校中に知れ渡り、素直に弁解できない洋子は、それを認めたために、克巳に「偽悪ぶるな」と殴られてしまう。洋子は克巳が好きなのは知子である、と知って、知子にその事をうち明けるが、知子はやくざの広川の情婦で、すでに妊娠している事を知らされた。そして、洋子の口から知子の妊娠を聞かされた克巳は呆然とするのだった。そして二人は初めて、この現実を理解し得る、ただ一人の相手を見い出したのだった。一方、源次は洋子の母と関係を持ち、さらに洋子をも襲った。そこへ来た克己が、源次との格闘の最中、包丁が源次の首に突きささった。二人は逃げた。夜行フェリーの一室で二人はおびえながら抱きあった。もう二人の行手には死しかなかった……。