「痛快過ぎ。」スーパーの女 プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
痛快過ぎ。
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津川が専務をつとめるスーパーの近くに激安スーパーが出店する。
津川が偵察に行ったところ、偶然客として来ていた幼馴染の宮本に出くわす。
元主婦の視点から、なかなか鋭い指摘をするので、自社に採用した。
宮本はとにかく主婦視点で、客を第一に考えたスーパーを目指す。
例えばリパックを廃止し、新鮮な物しか売らない事にする等。
その行動力は凄まじく、レジ係やパートのオバちゃんから高い支持を得る。
しかしはっきり物を言い過ぎるために、職人達とは不和になった。
肉職人・魚職人らは、やり方が古くプライドが高いので、もはや害だった。
専務の津川も彼らにはなかなかはっきり物が言えなかったのだが、
ついに決断して改革を実行する形となった。
魚職人の方は頑固だが、人間としてはまともだったので、
熱心な説得を繰り返すと、最終的にはスーパー側の要求を受け入れてくれた。
一方肉職人は最低で、高級肉の横流しまでしていたので歩み寄れなかった。
雇われ店長も最悪で、最終的には肉職人と共に激安店に寝返る。
激安店は、宮本の奮闘でいつまでも客を奪えないため焦り、
大金でこの2人を釣ったのだった。部下達も一緒に多数引き抜くつもりだった。
しかし宮本の頑張りを間近に見てきたスーパーの店員らは裏切らなかった。
本当にいい物を、誠意を持って売ることに誇りを持ち始めたのだった。
結局ほとんどの店員は津川のスーパーに残る事を決意する。
ここまではリアルにいい話。しかしこっからラストはコメディ的になる。
店長と肉職人が、店の肉を全部盗む。普通に犯罪やん。
ほんで輸送用の冷凍車に宮本が入ってもて、津川と警察が追跡。
結局2人は逮捕されるが宮本が瀕死になってしまった。
でも生きててハッピーエンド。
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いやあ、楽しかったわ。
ここんとこ伊丹映画を続けざまに見てるが、最高やね。
シュールな部分も多いんやけど、とにかく痛快の一言に尽きる。
宮本も津川も商売の基本である誠意と熱さに満ちた人間である。
そういう人達だからこそ、素直に応援できる。
そして食品偽装等の内部の問題を1つ1つ改善して行く。
最終的には、店員からも客からも大きな支持を受けるスーパーとなる。
まさに痛快以外の言葉がないわ。こんなスーパーなら行って見たい。
あと宮本と津川の、何とも言えない信頼関係も良かった。
一時は肉体関係を持ちそうな所まで行くが、二人とも大人であって、
恋愛感情ってものでもないんで、重苦しさがない。
そして何度喧嘩をしても、目指すものが同じなのですぐ仲直る。
男っぽい宮本とやや女々しい津川がうまくバランスが取れていた感じ。
しかしこの映画に出て来る食品偽装や混ぜ物の話、
実際にほとんどのスーパーでやっていたって事は今や公然の秘密。
この映画の時代からそういう描かれ方をしていたのには驚いた。
当時の消費者は、これを映画の中だけの話と思っていたのだろうか。