人狼 JIN-ROHのレビュー・感想・評価
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「狼」に、なりきれなかった作家…
「ケルベルス・シリーズ」で、実写ではなくアニメになったのは
様々な事情があっての事であろう。
前2作の主役「都々目紅一」や「乾」は、全く登場せず
オリジナルキャラ「伏一貴」が主人公である。
冒頭に、メインヒロインと思われた「赤服の少女」が、自爆テロで
死亡… その親族と思われる「赤ずきん少女」と「伏一貴」の物語。
スタッフのオリジナルメンバーは、プロテクトやエンブレムのデザイン、
出渕裕・高田明美しか残っておらず、脚本の伊藤和典や
音楽の川井憲次すら不参加… 2000年代に向けて押井氏が
世代交代を図ったと見られる。
これまでの作品で登場した「ミステリアスな少女」… その最後を
飾るが、この作品の「赤ずきん少女」である。
(『地獄の番犬』では、ヒロインは本編で赤服を着ていないが、
パンフレットに赤服を着ている写真あり)
結論から言えば、ラストに主人公は「赤ずきん少女」を殺す。
何故そうなったかは予想だが、押井氏が「これ以上、ケルベルスを
続けたくない」との思いで「ミステリアス少女」を葬って、ピリオドを
打ったのではないのか?
続けられない理由の一つ目は、21世紀に向かって日本で市民が
暴動を起こして、武装警察が銃撃で殺す「近未来」に、もはや
リアリティが無くなった事実。
二つ目は、押井氏が「少女好き作品」を、終わらせたかったかも?
「うる星やつら」を長く続けられたのは、押井氏自身が「ラム」を
好きであったから。
しかしながら、年齢的に「少女好きで作品を作る」に限界を
感じて「少女を殺した」のであろう…
「狼」は、好意を持つ肉体を「殺して喰らう」が、人間である自分は
それができないと察して、押井氏は自分とは違う「人狼」の
主人公エピソードを持って『完結』…
よって、押井氏の後の作品は「少女好き」の部分が少ないのでは
ないのだろうか…?
出渕裕氏がデザインしたドイツ的意匠のプロテクトギアにほれぼれ、傑出していますね。
Morc阿佐ヶ谷さんにて『人狼 JIN-ROH』(2000)を久々に鑑賞。
もう25年近く前の作品になるのですね。
『人狼 JIN-ROH』(2000)
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)でキャラクターデザインを担当された沖浦啓之氏の監督デビュー作、原作・脚本は押井守氏、演出は『ロード・オブ・ザ・リング:ウォー・オブ・ジ・ローハン』の公開も控える神山健治氏。
2018年に韓国でカン・ドンウォン主演作としてリメイクもされましたね。
第二次世界大戦、日本がドイツ・イタリアと同盟を組まずイギリスと組み敗戦、ドイツ占領下の昭和37年という設定が実に押井守氏らしいですね。
当時の空気感も見事に再現されています。
『紅い眼鏡/The Red Spectacles』(1987)、『ケルベロス-地獄の番犬』(1991)と連なる「ケルベロス・サーガ」の作品ですが、出渕裕氏がデザインしたドイツ的意匠のプロテクトギアにほれぼれ、傑出していますね。
自治体警察が過激派集団(セクト)を鎮圧できず高い戦闘力を有する「首都警」を組織、警察側と首都警との権力抗争、それに伴う公安や非公式の諜報組織「人狼」の動きなど硬質なポリティカルドラマが98分に濃縮されています。
まだCG前夜、全編セルアニメーション作品なのも味があっていいですね。
いくつもの感情がドットくる
童話と世論をもじった作品
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