「大人になるということ」新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に ケテルさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 大人になるということ

2025年10月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

リバイバルということで、初めての劇場鑑賞。
ビデオでTVシリーズを観て、旧劇を観て
14歳で新劇の序を観た世代です。
改めて名作であるという認識。

個人的にエヴァンゲリオンという作品は自己の確立がテーマだと感じている。
新劇であれ、旧劇やTVシリーズであれそれは変わらない。
新劇と旧劇やTVシリーズの違いは自己の確立度合いの違いだろう。
大人と大人への入り口の違い。
それを考えると主人公の14歳という年齢設定は素晴らしいと思いつつ
シリーズ通しての主人公の葛藤は、ある程度人間として共通なのだと感動もする。(個人的には、主人公とは碇シンジであり、庵野秀明であると思っている)
自覚したくない、人間の醜い部分を映像化した作品。だから気持ち悪い。

エヴァンゲリオンという作品において
"自身の考え方で世界の見方は変わる。が、それはそれぞれの人間がそれぞれの世界の見方があるということ。それぞれの見方があるからこそ自己が作られる"
というのが中心にあると考えているが、物語としての映像化に寄せたものが本作だろう
主人公の世界観の中に存在する他者、しかしながらそれは主人公の見方の中で分かる、想像できる範囲内の他者であり、作中後半では他者はそれだけではないという現実が突きつけられる。

そんな作品の中で異質な個を放つのがアスカである。
主人公においてアスカの反応の解像度だけが異様に高いのである。
だからこそそれは主人公と世界との繋がりを示し、異性への目覚めを暗示している。これほど美しく醜い表現を私は知らない。

まごころを君にでは、戦自との戦闘のシーンの描き方や実写シーンなどその奥底にジブリの系譜を感じることもできる。
これは庵野秀明の様々な思いが形となっているような気がしてならない。

結構な信者であると自負している私だが
エヴァンゲリオンに関してストーリーの整合性や意味合いを論じるのはナンセンスだと感じている。
私の中ではこの作品におけるストーリーは観覧しやすくするためのスパイスにすぎないからである。

ケテル
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