「命か、権力か…磨かれる野望のメス!」白い巨塔(1966) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
命か、権力か…磨かれる野望のメス!
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Amazon Prime Video(KADOKAWAチャンネル)で鑑賞。
原作は未読。
命か、権力か。熾烈な教授選に挑む財前五郎が野望のメスを磨く。大学病院に渦巻く権力争いの裏で失われる、医者の良心と患者の命。医学界の病巣を描破する社会派監督・山本薩夫氏の重厚な演出がモノクロ映像によって際立っていました。
患者より野心を優先する財前が発散するギラギラを、田宮二郎氏が渾身の熱演で表現していて、魅せられました。
また、対象的な里見助教授の、医師として、科学者としての良心を体現している田村高廣氏の演技も見物でした。
原作が完結前(「続・白い巨塔」発表前)に映画化されたので、誤診裁判の判決までで物語が終わってしまいますが、教授としてさらなる権力の階段を上ろうとする財前と、大学病院を去る里見の残酷な対比が医療界の抱える問題を際立たせる構造となっていて、橋本忍氏の脚本力と山本監督の演出の鋭さが光る見事なラストシーンが印象に残りました。
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