「お手本のような時代劇」将軍家光の乱心 激突 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
お手本のような時代劇
1998年。監督:降旗康夫
娯楽大作です。
アクション映画として中身が濃い。
最近「十三人の刺客」2010年の三池崇史作品を観ました。
この映画がお手本の気がします。
藩主の乱心vs将軍家光の乱心。
(この2作品とも原作はないのですが、為政者がサイコな狂人が共通点)
(歴史的に見ても、毛沢東、ヒトラー、スターリンと、異常に酷薄な指導者が多いのも常です)
徳川の追手vs浪人七人
この映画は家光が実子の竹千代を嫌い、殺すために刺客を送る。
対して竹千代を無事に江戸へ送り届ける役目を浪人・緒方拳ら七人が、
竹千代を守り旅するロードムービーです。
まぁなんと、追手の数の多いこと。
そして竹千代の進む道中の凄まじいこと。
30メートルの崖を飛び降りて川に落ちる。
長くすべすべの滝を滑り降りる。
断崖のてっぺんから、向こうのてっぺんへ縄を渡して、サーカスの綱渡りよろしく
綱にぶら下がって向こう側へ渡る・・・などなど8歳位の子供(竹千代)の道程ではない。
(冷静に考えて江戸に着くとは到底思えない道程です、笑)
緒方拳。松方弘樹。千葉真一。丹波哲郎。京本政樹。
女優は二宮さよ子と加納みゆき。
アクション監督を千葉真一が勤めている。
隠密。橋の爆破。馬が崖で滑落する(怪我しなかったのか?)
千葉真一と緒方拳の一騎打ちも見どころ。
京本政樹の将軍・家光もラストでの狂乱ぶりがなかなか真に迫って迫力。
大作を最後にペースを上げて、まとめる手腕。
降旗康夫監督は凄い。
高倉健と組んだ「鉄道員(ポッポや)」やなどのソフトは語り口とは大違いだ。
最後の最後まで見応え十分。
七人の浪人が幕府の追手を要所要所で食い止めて、死んで行くのですが、
「七人の侍」を意識してるのかもしれませんね。
傑作だと思います。