「少年時代が蘇る特別な1本。僕らはアトムとF先生の子供さ。」ジュブナイル たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
少年時代が蘇る特別な1本。僕らはアトムとF先生の子供さ。
少年達とロボットの一夏の冒険を描くSFアクション。
監督/脚本/コンセプチュアルデザイン/VFXは山崎貴であり、本作は彼の初監督作品にあたる。
主人公・祐介の成長した姿を演じるのは『男はつらいよ』シリーズや『鉄道員(ぽっぽや)』の吉岡秀隆。
公開当時、主人公達とほぼ同年代だった自分にとって、この映画には本当に影響を受けたし憧れた。
淡い恋物語、タイムトラベル、ロボット、宇宙人、そして友人達との何気ない日常…。
スクリーンに映し出される、自分と同じ年頃の子供達が繰り広げる冒険に胸を躍らせていたことを、久々の鑑賞で思い出す事が出来ました😌
まだパソコンが一般的ではなく、インターネットにも馴染みのない時代。
プレステ2やPHS、VHS、コロコロコミック、サルゲッチュ…。あの時代、少年なら誰もが親しんでいたり憧れたりしていたあれやこれやが物語いっぱいにパッケージされており、懐かしさと寂しさで胸がいっぱい…。
映画の内容は、よく出来ているとは言い難い。
今になって鑑賞してみると、少年時代には気付かなかった物語のアラが目についてしまう。
神崎博士と範子お姉ちゃんの恋愛要素ははっきり言って不要。そもそも、この2人は作中でほとんど活躍していないので存在意義もよく分からない。香取慎吾演じる神崎博士はとても面白いキャラクターだったのでもっと活躍の場面が欲しかった。
敵のエイリアン・ボイド人も酷い。VFXはなかなか頑張っているのでビジュアル面には文句はないが、もうちょっと怖さとか強さを強調出来なかったのか…?
急に日本語ペラペラになるのは何故…?
最後の倒し方も何だあれ?何しに来たんだあいつら💦
子供の頃は「ガンゲリオン」の登場に胸躍らせたものだが、今見るとあまりの活躍の少なさに驚く。当時の技術的に難しいのかもしれないが、もっとバトルが見たかった。
にしてもガンゲリオンって、かなりギリギリなネーミングっすね。テトラの声優も林原めぐみだし…。山崎貴監督、中々に安直。
余談だが、林原さんが顔出しでカメオ出演しているのを発見!この当時、どのアニメでも林原めぐみがヒロイン役やってたな〜。
タイムパラドックスがどうのこうのとツッコむのも野暮だが、映画終盤の2020年の描写は陳腐だし展開にも不満。チンタラせずにサクッとテトラ作って過去に送らんかい!
…あの可愛らしかった主人公の少年が、20年経つと吉岡秀隆になるのか…。全然似てないぞ。
映画としては褒められたものではないかもしれない。
しかし、少年時代の大切な思い出の一本であり、映画好きになった原因の一つでもある特別な作品。
そして山下達郎の主題歌&劇中歌は最高。今でも大好き❤️
山崎貴の初監督作品ということもあり、彼のやりたい事が画面越しから伝わってくる、活力と多幸感に溢れる映画。今の子供達にも観てほしい快作✨
予算的な問題からか、地味な社会派or誰得な実写ばかりが作られている邦画界隈。現代でもこの様なハッピーな国産SFが作られると良いのだが…。