「新聞配達青年の闇を描く」十九歳の地図 四葩さんの映画レビュー(感想・評価)
新聞配達青年の闇を描く
観た感想は小説から受ける印象とたいして変わり映えしなかった。 街を駆ける犬の精神で鬱屈して怒りと暴力衝動をうちに秘めた青年を描いた内容
かさぶたのマリアは中上の同人誌時代の同志の小林美代子女子をモデルにしたと思われる。それと当時中上が影響下にあったWフォークナーから考えたと思われる地図がやがて路地になり紀州サーガ三部作に繋がる分岐点となった小説である。
中上が羽田で肉体労働をしながら書き上げたまだ荒削りな時代の小説で作者の当時抱えたものは一気に吐き出したような内容だが映画そこまでではない感じ。
かさぶたのマリアの描き方がちょっと違うと感じた。
原作を超えるものが特になかった感じ。あとエロシーンは原作にはない。
原作は中上の処女作品「十八歳」に似た感じのやりきれない悲しみと甘ったるい青春を唾棄する切迫した衝動みたいなものが描かれている。映画はそこがいまいちでかさぶたのマリアが浮いてしまった感じがした。
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