執炎のレビュー・感想・評価
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召集令状
平家落武者の末裔で、今も伝統を受け継ぐ平家部落。神秘的な山の部落の陰暦の七夕。村人が集まって能を行うなど、いい雰囲気。海の男と山の娘。たちまち恋に落ちるが、兵役が彼らを3年間引き裂いた。3年後に一層たくましくなって戻ってきた拓治。周りの理解もあって、古い因習を破り、二人は結婚した。赤紙が来て戦争に駆り出される拓治だったが、負傷したため戻ってきた。まだ続く戦争の最中、山奥の一軒家で平和なひと時を過ごすが、また召集されることもあると聞かされ、負傷した右足をあのとき切断しておけばよかったと後悔するきよの。
やがて再び赤紙が配達され、哀しみに打ちひしがれる。能面をつけて舞い、拓治への執念の思いを込める。気が触れたように村を放浪したりするが、周りの人は気を遣う。20年6月に拓治が戦死したとの報せを受け取る家族だったが、その事実をきよのに知らせずにいた。終戦を迎え、仏壇にあった遺灰に気付いたきよのは黒髪を切り、仏壇に供え、断崖絶壁の海へと目指す・・・
反戦映画ではあるが、女の男への執念を描いたもので、ちょっと視点が珍しい作品。そして少しうざったいほどのナレーション。俳優の演技でいろいろと読み取ろうとする心を排除されてしまいそうになる。
印象に残るのは結構歯並びの悪さが目立つ浅丘ルリ子。それでも十分色っぽい。ヌードシーンもいい。陸橋の上で汽車をやり過ごすシーンは計3回登場するが、それぞれに感情の違いがあるところ。拓治の従妹役・芦川いづみや、きよのの妹役・松尾嘉代の登場シーンが少ないのは残念なところだが、召集令状配達人から戦死通知配達人となった宇野重吉の存在感が何とも言えないほど辛辣。
ロケ地は富山県平村、輪島市、福井県など・・・北陸ばかりや。
とにかく浅丘ルリ子を美しく撮る この目的は十分に達しています
浅丘ルリ子100本記念作品 それまで主演男優の添え物的な相手役ばかりでしたが、本作で初めて本格主演で彼女の実力を見せてくれました 日活にしては珍しい、芸術祭参加作品です 格調高い物語と演出、撮影も美しく、丁寧に撮られています しかし監督が力み過ぎか、上滑りしてしてしまっています 冗長なシーンも多いです 構成ももう一工夫欲しいところです しかし、とにかく浅丘ルリ子を美しく撮る この目的は十分に達しています 冒頭に駅に降り立つのは芦川いづみ 彼女の美しさは相当なものです その彼女をもってしても、始まって10分たってやっと浅丘ルリ子が登場したとき、段違いに美しい!と唖然とさせられます もちろんメイクも髪も衣装も照明も撮影も、そうなるような計算での演出の上ですが、それでも別格の美しさです 比較対象にされた芦川いづみが少し気の毒です なんとなく彼女不機嫌そうです 召集令状と戦死公報を配達する役場の役人が死神に見えるように、黒づくめの服装と帽子、そして白い大きいマスクをさせている演出は、良く出来ています 特に誰宛ての公報を持ってくるのか分からない中、どんどん自分に近づいてくるシーンは秀逸でした もっと徹底してデフォルメした方が良かったように思いました カメラは物凄く頑張っており、カラーで撮るべきだったと思います この当時はまだ白黒で撮ってこそ芸術作品という風潮だったのかもしれません 浅丘ルリ子の美しさとカメラに星一個オマケです 劇中に何度も登場する高い鉄橋は余部鉄橋です 日本一高い鉄橋で有名な橋です 山陰本線の城之崎温泉駅と鳥取駅との間に掛かっています 近年架け替えられてコンクリート橋になったようです きよのが乗る漁船が水揚げしているのはカニです この近くがカニの街で有名な香住です この街の料理民宿で食べたカニのフルコースは忘れられない最高の美味でした 城之崎温泉からは電車で40分程です 関西からはシーズンになるとカニグルメのバスツアーが沢山あります 余部鉄橋観光が含まれているツアーもきっとあると思います 車でも大阪や京都から3時間くらいでしょう
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