「クライマックスの死闘は、時代劇を沢山観て来た方でもこれほどの迫力の殺陣の連続は他にあまり無いと思われるとお約束できます」十一人の侍 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
クライマックスの死闘は、時代劇を沢山観て来た方でもこれほどの迫力の殺陣の連続は他にあまり無いと思われるとお約束できます
十一人の侍
1967年12月公開
東映白黒作品
主演夏八木勲
監督工藤栄一
音楽伊福部昭
素晴らしい!傑作です
題名とお話が若干似ている「13人の刺客」と混同されやすいです
そちらの作品は1963年12月公開
(2010年公開の方は三池崇史監督のリメイク版)
東映白黒作品です
監督も同じ工藤栄一
主演は片岡千恵蔵
本作の原型はその作品と思います
もしかしたら、監督はリメイクのつもりだったのかも知れません
本作は基本、忠臣蔵です
ごくごくシンプルです
ところが13人の刺客の方は、もう少し設定が凝っています
本作でいえば、老中の側が暗殺の首謀者となるという筋書きでお話が複雑になります
その分、単純な勧善懲悪のカタルシスが削がれているのではないかその反省から本作の企画が出発しているかのように感じられます
冒頭から悪役の非道さを簡潔に見せて観客に感情移入しやすくして、展開も余計なことは削いで削いで気持ち良い程シンプルに徹しています
ただ女性二人の扱いが頑張ったものの結局、今一つだったところは唯一の残念なところです
本作のクライマックスは二段仕立てです
襲撃直前のシーン
勝手に動くものは斬る!
命令に背くものは斬る!
圧巻中の圧巻です
周到に準備を重ね、成功の可能性が極めて高い!
そして、そこからの怒涛の急展開
私達観客はスクリーンに釘付けとなり茫然となって死闘を見守るのみとなります
猛雨の中の追撃、簡単な手順の打ち合わせのみでの急襲、死闘につぐ死闘
雨が上がった時、全てがおわり観客にも大きなカタルシスが訪れます
時代劇を沢山観て来た方でもこれほどの迫力の殺陣の連続は他にあまり無いと思われるとお約束できます
音楽はあのゴジラの伊福部昭
クライマックスの劇伴はまるでゴジラが暴れまわっているかのようなものですが、劇展開はその音楽が決して仰々しいとは思えない程の迫力で釣り合っています
音楽も13人の刺客は伊福部昭でしたが、本作でも素晴らしいマッチ具合でした
本作に満足されたなら、その13人の刺客(1963年版)も是非ご覧になられて下さい
強くお勧めします