「実は新左翼運動の過激派の顛末を描いていたのだと思う」実録・私設銀座警察 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
実は新左翼運動の過激派の顛末を描いていたのだと思う
恐ろしくアナーキー
戦後直後の混乱期、モラルの崩壊した東京が舞台
仁義無き戦いは1973年1月公開
本作は同年7月公開
どちらも戦後すぐの混乱期の闇市シーンから始まるが本作の方が遥かにアナーキーさ過激さが強い
任侠の世界は微塵もなく、シカゴのギャング映画のような殺伐とした世界を延々とこれでもかと展開する
前者の映画はやくざ抗争の激化が映画化の背景だ
ならば本作は何故戦後すぐに生まれ消えていった銀座警察を映画に取り上げたのだろうか?
公開されたその1973年は70年安保闘争が終息してはいたが、成田闘争では1971年に3人の機動隊が惨殺され数十人が重軽傷を負った東峰十字路事件が起こっている
そして中核派や革労協と革マル派の内ゲバが約100人もの死者を出すまでに激化してきた頃でもあった
連合赤軍の山岳ベース事件、あさま山荘事件は1972年のことだ
正に本作の物語との類似性をみせている世情であっあのだ
敗戦の混乱は70年安保闘争の敗北、学園紛争の敗北のアナロジーとしてあるのだ
内部抗争はもちろん内ゲバだ
つまり本作は、新左翼運動の過激派の顛末を描いていたのだと思う
だからこのアナーキーさ過激さは理由があるのだ
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