劇場公開日 1969年9月27日

地獄変のレビュー・感想・評価

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2.5来い、奈落へ来い、炎熱地獄へ来い、焦熱地獄へ来い

2024年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なかなかお目にかかることのない映画だったので楽しみだった。たしかに芥川の世界だけど、やはり時代のせいか、全体にどこか大仰な演出に思えた。役者の演技も濃い。そりゃ中村錦之助(萬屋錦之介)と仲代達矢だもの、熱い演技合戦になるのは当然だとは思うし、物語自体も狂気を孕んだ大殿と良秀の丁々発止なのだからこうなるわな。そこに芥川也寸志のクドい劇伴。二人の意地の張り合いに巻き込まれた良香を見せつけられては尚のこと、胃もたれしそうな後味になった。嫌いじゃない、だけど、味付けが濃い料理。せめて塩分は控えて欲しいと言いたくなる。いま、だれか他の監督がこれを映像化したらどう仕上がるのだろうか、という想像こそが楽しく思えた。

鑑賞後、講演。芥川也寸志の音楽について。
也寸志は龍之介の三男であることを忘れかけていた。也寸志はまだ自分と被っているし、そう思うと龍之介生きた時代と言うものはそう遠くないもののように思えて、急に身近な存在に感じた。当時最大人数によるオーケストラ、舞曲風の音楽と鞭の音、オスティナート(執拗反復)と呼ばれる音楽、他の映画にも流用される同じメロディ、等々。好みの問題だけど、うるさいのだよなあ。いいから音楽はもう少し下がっててくれ、と思う。

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栗太郎

3.5貴重な錦之助VS仲代作品

2015年4月2日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

これは珍しい錦之助と仲代達矢共演作品。
何せ錦之助は東映の大スター。対する仲代達矢は主に東宝を中心に映画出演していただけに、この2人の組み合わせは貴重。
でもこの2人って同い年で、ほぼ同じ頃に映画界に飛び込んでいたんですね。

映画は芥川竜之介原作で、音楽を息子の芥川也寸志が担当と言うのも見所の一つ。
でもやっぱり錦之助と仲代達矢の演技合戦が一番の見所。

平安時代の貴族社会を背景にして権力者の錦之助と、悪政に苦しむ社会を憂う絵師役の仲代達矢。
極楽浄土の絵を描かせたい錦之助に対して、仲代は地獄絵図こそこの世に相応しいと応じない。
かくして可憐な内藤洋子を挟んだ、この2人の人間の業の深さを映像化したのは豊田四郎監督。
豊田監督としては、この様な絢爛豪華な平安絵巻物語は決して得意な分野では無いと思うのだが、シンプルにして奥行きの有る村木忍の美術に、鋭い観察で人間性を追求した八住利雄の脚本。更に撮影・照明・録音等、スタッフ一丸となった確かな技術力が存分に発揮されていています。

がっぷり組み合った錦之助VS仲代の2人ですが、狂気的な演技に持ち味の在る仲代達矢は流石の演技。
でも個人的にはやはり錦之助ですね。実に憎たらしい役ですが、如何にもやんちやな錦之助に相応しいキャラクター設定で、ついつい嬉しくなって来ます。
クライマックスでの悪役っぷりはまさに圧巻。

今観ると、ラスト間際の特撮場面に古さを感じこそすれ、娯楽性に溢れた作品です。

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松井の天井直撃ホームラン