劇場公開日 2021年2月13日

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「【”我が子を喰らうサトゥルス”ゴン!ゴン!ゴン!今作は、無表情で孤独な大柄な若き松重豊さんが、こん棒で人を殴る姿が非情に怖い、邦画界では唯一無二の極北の世界感を味わう作品である。】」地獄の警備員 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”我が子を喰らうサトゥルス”ゴン!ゴン!ゴン!今作は、無表情で孤独な大柄な若き松重豊さんが、こん棒で人を殴る姿が非情に怖い、邦画界では唯一無二の極北の世界感を味わう作品である。】

2025年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■総合商社に2人の新人が入社する。
 1人は絵画取引を担当す営業課に配属された秋子。そしてもう1人は巨体で無口で無表情のの警備員・富士丸(松重豊)。
 元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害したが、精神鑑定の結果、無罪宣告されていた要注意人物だった。

◆感想

・今や、世界の黒沢清監督の初期作品であるが、この頃の黒沢清監督の作品は、他の邦画とは違い、硬質で無機質な雰囲気が特徴である。
 それは、後年の作品にも脈々と伝えられているが、後年は更にそこに乾性が加わっていると思う。

・私は、黒沢清監督作品は、その邦画界では唯一無二の世界感が好きである。が、監督の作品がヨーロッパの映画祭では高く評価されつつ、国内ではあまり評価されない理由も分かる気がするのである。

・今作は、ジャンルで言えば不条理ホラーに入るのであろうが、若き松重豊さん演じる富士丸が何故に無表情に人を力で次々に殺害して行くかは、詳細には描かれない。
 彼が、無表情なまま口にする”俺の気持ちは分からない。”と呟く言葉から察するのみである。

<今作に、ストーリー性は求めてはイケナイのかもしれない。只管に、その極北の世界感を見る作品だと思う。松重豊さん演じる富士丸の不気味さは、比類がないと思います。>

NOBU
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