劇場公開日 1978年6月3日

「映画が終わってみると印象の半分以上大竹しのぶは物凄い!ということで占められてしまっているのです 本作を観ずに大竹しのぶは語れません」事件 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画が終わってみると印象の半分以上大竹しのぶは物凄い!ということで占められてしまっているのです 本作を観ずに大竹しのぶは語れません

2022年8月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

ずっしりとした見応え!
重量級です
日本でも見事な法廷劇が成立する事を証明しています

監督 野村芳太郎
音楽 芥川也寸志
撮影 川又昂

主演は誰だかよくわからない群像劇というべきですが、丹波哲郎が主要な登場人物を演じます

ここまでは「砂の器」とおなじです

違うところは
脚本が新藤兼人であるということ
本作の特徴である本格的な法廷劇と
再現シーンの複雑な構成を的確に整理して、その上感情が表出するシーンを忘れてはいないのです

音楽にはエレクトーン界の鬼才の松田 晶 が作曲・演奏で追加されています
彼がGX 1で奏でる「愛のテーマ」は
格調の高いもので、シンセサイザーの安っぽい音ではなく、感情の表出を劇的に演出してくれます

このヤマハのキーボードはドリームマシンと当時言われた伝説の機種
ユーザーには、キース・エマーソンやスティーヴィー・ワンダー、ハンス・ジマーなどがいます

法廷劇は弁護士役の丹波哲郎と検事役の芦田伸介、裁判長役の佐分利信の大物3人で展開されます

そのどっしりとした土台の上に事件の再現シーンが展開されます
被告役を永島敏行、殺害される女性を松坂慶子で何度も繰り返されます

なぜそれが起きたのか?
故意の殺人であったのか?
事故というべきものであったのか?

その動機や背景についてを、被害者の妹役の大竹しのぶ、被害者のヒモ役の渡瀬恒彦を軸に展開されます

さらに多くの証人役に芸達者な有名役者ばかりを取り揃えて、立体的な厚みを作り出しています

とにかく、大竹しのぶと渡瀬恒彦の二人の熱演が見ものです

特に大竹しのぶの凄さは強烈です
この年の日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を獲得したのは当然です
無数の映画やテレビドラマに出演されていますが、本作の演技はとりわけ圧倒的です

映画が終わってみると印象の半分以上大竹しのぶは物凄い!ということで占められてしまっているのです

本作を観ずに大竹しのぶは語れません

あき240