劇場公開日 2000年12月7日

「優しい映画」式日 美咲さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5優しい映画

2021年9月12日
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原作未読で鑑賞した庵野ファンです。導入のビジュアルのインパクトから、もっと痛々しい映画を想像していましたが、どんどん救いに向かっていく様は、エヴァを彷彿とさせました(庵野監督の本意か不本意か)。
勝手な想像ですけれど、監督と少女の二人の人物像は、どちらもまるで庵野秀明のよう(知らんけど)。
(ちなみにNHKのプロフェッショナルでの庵野秀明の密着を見た後に鑑賞したので、この映画が制作されたタイミングのことを考えると、色んな想像が膨らんでしまいました。)

孤独と執着、家族愛と性愛への嫌悪、虚構の現実と現実的な夢とがないまぜになった、かわいい子猫のような映画。
極めて少ない登場人物と、人工的な建造物ばかりの風景、全体的に暗めのトーンで表現された映像、美しくて冷たいピアノの音。最初から最後まで繊細で複雑さがなく、なぜか私はこの映画によって心を落ち着かせることが出来たのです・・・。
林原めぐみさんと松尾スズキさんのナレーションを入れて、鑑賞者に歩み寄ろうとするアプローチは、愛しく感じられました。
そして庵野監督らしい様々なアングルの使い方が、この映画の世界観をより特別なものにしています。
私もどこかで、この監督のような、自分の理解者が突然現れることを夢見ているのかもしれません。

美咲