三面鏡の恐怖
劇場公開日:1948年6月14日
解説
サン写真新聞に連載中の木々高太郎原作「三面鏡の恐怖」の映画化で、企画は「緑の小筐」「オリオン星座」等の中代富士男、脚本は監督の久松静児と「蝶々失踪事件」の高岩肇が協同で執筆した。久松監督の前作には「女囚36号」「蝶々失踪事件」がある。撮影は「蝶々失踪事件」「美しき豹」の高橋通夫が担当する。配役は「秘密(1948)」「酔いどれ天使」につぐ木暮実千代が大映に初出演し「花ひらく(1948)」につぐ上原謙(彼は「踊子物語」「初恋物語(1947)」についで大映三回目出演)と「金色夜叉(1948)」以来の顔合わせを見せる。他に「いつの日か花咲かん」の沢田信子「美しき豹」の三枝陽子の両新人も出演する。
1948年製作/82分/日本
配給:大映・東京
劇場公開日:1948年6月14日
ストーリー
ハイキングコースの尽きた木かげで、若い秘書課長十吉は恋人嘉代子にこの土地に水力発電所建設の夢を語った。恋愛より事業に生きる十吉は、まもなく同僚平原のすすめるままに社長令嬢和子と結婚した。三面鏡の中に十吉は失恋に狂う嘉代子のまなざしを見た。--それから三年、和子は病没し十吉は和子の妹辰美と母の友子と同居しダム建設にまい進していた。辰美は十吉を愛していたが、十吉は知らず、その態度はつれなかった。そうしたある日十吉のもとに嘉代子の妹伊都子と名のる婦人が現れ、彼女は嘉代子がその後平原と結婚し、間もなく別れて田舎の病院で死んだと告げた。二度、三度の交際が続き、姉に生きうつしの伊都子に魅せられた十吉は求婚し二人は結婚した。運び込まれた伊都子の荷物の中に三面鏡があり、十吉はがく然としたがひたすら伊都子を愛し続けた。十吉の事業は資金問題がもつれて停とんし、平原の資力をあおぐべく伊都子もまた平原と会ったが、なぜか伊都子は平原をおそれきらった。平原は一方友子を訪れ、先代社長が残した唯一の財産宝石の隠匿をあばき強迫し、友子は悩んだ。友子の態度にあきたらぬ平原は辰美に「伊都子の秘密」と交換に宝石のある信託会社のかぎを持ち出すべく命令し、更に伊都子自身にも「お前は嘉代子だ、仮面をぬげ!」」と迫る。辰美はかぎを平原に渡し、「伊都子は実は嘉代子である」とおどろくべき秘密を聞き、その証拠書類をさえ見せつけられた。かぎの紛失で大さわぎの十吉一家に平原の惨死が伝えられ、同時に外出から問題のかぎを握って伊都子が帰って来た。刑事の活動は伊都子に平原殺しのけん疑がかけられたが、やがて疑いは晴れて伊都子が故郷の不動産を売った金で工事は完成した。伊都子は果たして嘉代子か?すべての秘密をにぎって平原が死んだ今、十吉の願いは妻を伊都子と信じひたむきな愛情をささげることであった。