座頭市果し状のレビュー・感想・評価
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志村喬
順庵役の志村喬のおかげで引き締まった映画となっていた。ストーリーとしてもシンプルで感情移入ができるのだ。黒澤映画『酔いどれ天使』でも医者を演じた志村だが、ここでの役柄は秩父の里という小さな村で、貧乏人からは金を取らずに逆に食べ物を分け与えるという、まるで『赤ひげ』のような先生だ。今回の市は銃弾を左肩に受け、かなり痛々しい。これも医者がいるからできたことなんだろう。
残念なのは親子の確執。江戸で医者をしているとき、家を飛び出し人を殺してしまい、盗賊団の一味になってしまった弦八郎(待田京介)。最後には市に斬られてしまうのだが、そのときの感情がいまいち描ききれていないと思う。ちょいともったいない。
悪党の一味で紅一点の野川由美子といい、順庵の娘である三木本賀代といい、胸元ギリギリの映像がいい!!
果し状、届いた…?
シリーズ18作目。1968年の作品。
道中、悪徳やくざとその用心棒・弦八郎に斬られた男を助けた市は、とある宿場町の医者の元へ担ぎ込む。娘・お志津と二人で暮らし、忖度無く病人を見るその医者・順庵に感心し、市もまた気に入られ、厄介になる。が、やくざ一家からの用心棒の話を断った事から命を狙われ、順庵とお志津も連れ去られ…。
一作一作面白味が続いていたが、久々にこれと言った特色に欠ける平凡作。
かと言って、全くつまらない訳ではない。
やくざ一家の武器は銃など飛び道具。血を流し、これまでになく、大ピンチの市。そんな満身創痍の身体で二人を救出に向かう…。
深手を負った身体でやくざ一家を斬っていく市。用心棒・弦八郎も斬る!
その時…
「兄さん!」と、弦八郎に泣きすがるお志津。
順庵がやくざが嫌いと言っていた理由もこれ。しかし、目の前で我が子を失った悲しみ…。
助ける為とは言え、親子を“斬ってしまった”市。
悲壮感たっぷりではあるのだが…、暫く経ったら忘れてしまいそう。
せっかくの志村喬や野川由美子も勿体無い。
ところで、果し状って届いた…?
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