殺人狂時代のレビュー・感想・評価
全21件中、1~20件目を表示
主人公が“全然信用できない”という面白み! 殺し屋たちの濃ゆい造形も◎
とある病院では、精神病患者を殺人狂に仕立て上げようとしていた。その目的とは、人口調節のために“不要”と判断した人間を抹殺する秘密組織「大日本人口調節審議会」の活動を円滑に進めるため。ボスのもとにやって来たのは、ナチスからの使者。組織にある仕事を依頼するべく、電話帳から無作為に選んだ「3人の殺害」というテストを実施する……。こんな冒頭から始まる本作、テンポ感の良さもありますが、いやはや全く飽きない!メチャクチャ面白いです。
注目ポイントを2つあげましょう。1つ目は「大日本人口調節審議会」に所属する殺し屋たちの“個性”。「ジョン・ウィック」シリーズが好きな方には、是非鑑賞してほしいです。例えば「首筋を瞬時に切り裂くトランプ使い」「仕込み傘を携帯した老人」「義眼=暗器のマダム」「スピリチュアルで“殺す”女」「松葉杖を凶器にする男」などなど。どうです? ユニークな方々ばかりでしょ? 彼らが大活躍するのかと思えば、案外間が抜けている…でも、そこもクスリと笑える魅力!
2つ目は、信用することができない“主人公”。犯罪心理学の大学講師・桔梗信治(仲代達矢)は瓶底メガネに髭面、極度のマザコン、水虫持ち、ぬぼっとした語り口。素晴らしく冴えない中年男です(途中から小ざっぱりしますが、その変貌ぶりもイカしてます)。「3人の殺害」テストの1人に選ばれしまい、彼のもとへ殺し屋がやってくるのですが…。この導入が面白いんです。
殺し屋は「大日本人口調節審議会」に所属しているわけですから、元々狂人です。しかし、桔梗はそれを上回るほどの狂人であり変人。桔梗の言葉も、感情も、行動も、最初から全く信用ならないわけです。主人公に対する“共感”をひょいとかわし、殺し屋の襲撃をひらりと避けていく桔梗。この“信用ならない”という要素は、桔梗を魅力的な人物にするだけでなく“伏線”にまでなっているんです。旅のお供ともなる車泥棒の大友ビルは“第四の壁”を越えて、こんなことを言います。「あのー、これは一体どういうことになっちゃ……(ったの)?」。本当に、最後の最後まで“信用ならない”!
余談:「大日本人口調節審議会」のボス・溝呂木省吾を演じるのは、天本英世。その怪演も見応えたっぷり!
殺人狂時代
ヨーロピアン・スラップスティックな邦画
なんだコレは!奇妙奇天烈さがとても素晴らしい岡本喜八監督作
1967年製作/99分/日本、配給:東宝、劇場公開日:1967年2月4日。
主演の仲代達也の演技も含めて、これまで見たことがないほど、コミカルにおもいっきり弾けていて、メチャ面白く感じた。公開時に観客はあまり入らなかった様だが、時代の先を行き過ぎた!?
岡本喜八監督って、凄い。彼の監督作を全て漁りたいと思わされた。
仲代達也は、分厚い眼鏡かけたマザコンで冴えない大学講師ながら、殺し屋を簡単に始末する精悍さも見せ、そのギャップは漫画的ながら、かなりカッコ良いキャラクターに見えた。彼を騙して命を狙って返り討ちにあった団玲子も、なかなかのはまり役に思えた。
そして、殺し屋組織のボスを怪演した天本英世も強烈な印象で、佐藤勝による音楽も相当に挑戦的。うーん、当時の評価は知らんが、奇妙奇天烈な隠れた傑作映画じゃん。
監督岡本喜八、原作都筑道夫、脚本小川英 、山崎忠昭 、岡本喜八、撮影西垣六郎、照明西川鶴三、美術阿久根巌、録音渡会伸、編集黒岩義民、音楽佐藤勝。
出演
仲代達矢、団令子、砂塚秀夫、天本英世、江原達怡、二瓶正也。
仲代さんのルパン3世?
【殺人狂時代】(1967) 岡本喜八 生誕百周年記念プロジェクト - その6
仲代達矢さんがこんなにもすっとぼけて軽やかな役を演じておられるのを初めて観ました。そして、その背景を読み解き、本作からルパン3世へと繋がる道筋を検証する上映後のトークがすこぶる面白かったです。岡本監督がモンキー・パンチの作品の原作者を務めた事があったなんて全く知りませんでした。そして、冷遇された時代の岡本監督の背景考察も凄く刺激的。
月イチの本シリーズは、毎回トークショーが充実しているのですが、今回は特に予定時間を超えて(でも、もっと聞きたかった)の盛り沢山なお話でした。来月は愈々8月、『肉弾』と『日本のいちばん長い日』の毛色が正反対の戦争大作連続上映です。
ラーメン大好き仲代さん
都筑道夫の「なめくじに聞いてみろ」の映画化らしいが、残念ながら未読。だいぶ前に一度見ているが、天本英世が出ていたことくらいしか覚えていなかった。天本英世と言えば、「ウルトラQ」の最終話「あけてくれ!」で失踪した無気味なSF作家を演じていたのが印象深い。今回久々に見たら、「ウルトラQ」の一平くん=西條康彦、「ウルトラマン」のイデ隊員=二瓶正也、「ウルトラセブン」のソガ隊員=阿知波信介も出演していた(チョイ役ですが)。
ま、名作とか傑作とか言うのではなく、珍品のたぐいですね。物語の設定が破綻しているし、どう見てもスラップスティックの作劇。仲代達矢の登場シーンはほとんどオバQの小池さんだ。彼は既に「人間の條件」や「切腹」に出た後だし、岡本喜八は同じ年に「日本のいちばん長い日」を撮っている。いずれにしても振り幅が大きいなぁと。殺し屋連中はたいがい間抜けだし、主人公らは銃撃されても、爆弾が落ちてもまるで死なない。最後に取ってつけたように天本英世と決闘するが、主人公を殺そうと思えばいつでもその機会はあったはずだ。
精神病院の内装がかなり気持ち悪い。タイトルもさることながら、放送禁止用語頻出。
光と影
ストーリー:秘密結社は殺人作戦を決行するが、作戦をすり抜けたターゲットがいたもんだから、秘密結社はその男を殺そうと必死になる。
殺し損ねた男を罠にはめようとあの手この手を繰り出すところが面白いといえば面白い。
画像として光と影の演出が素晴らしい。また正面のアングルにこだわってる感があって、そこも面白い。
そういう面白い点も多少ある。
しかし、令和に到達した今、漫才やコントに慣れた現代の鍛え抜かれた目から見ると基本的にまどろっこしくて退屈。そして意外とシュールさが足りない。当時としては頑張った方なのだろうが。
殺人劇の中にコメディをまぶしたつもりかもしれないが、正直全然お笑いになっていないのでコメディは邪魔にすら感じる。
今週の気付いた事:もっと破壊して欲しかった。
だましだまされあいつがルパンだばかもん
あなたも私も殺人狂!?
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
カルト的人気を誇る名作! 東宝上層部の意向で一度はお蔵入りになるも、紆余曲折を経てひっそりと公開された本作。その後リバイバルなどで人気を獲得し、今や岡本喜八監督の奇作として知名度もある…。待望の初鑑賞でした!
東宝上層部が公開に尻込みしたのも頷ける…。かなりトリッキーな作品でした。これまで観て来た岡本喜八監督作品からは想像も出来ないほどの奇作ぶりでした(笑)
ストーリーと世界観はかなりブッ飛んでいましたが、戦中派を自称する監督ならではな、戦争への怒りは込められていました。そこはブレない…。さすがでした。
“大日本人口調節審議会”の首領溝呂木が語る殺人哲学―人類が本能的に望んでいるものが大量殺戮であるが故に、この世から戦争は無くならないのだ…。なるほど! それはつまり、誰もが殺人狂になってしまう可能性を持っていると云うことですよね??? ―私も。それにあなたも。…
「ジョン・ウィック」シリーズでも個性的な殺し屋たちが登場しましたが、本作でもそれに負けず劣らず、否それ以上のインパクトを持った殺し屋たちが次々に桔梗の命を狙って来る!
標的の桔梗でさえ、得体の知れない男! 水虫持ちでド近眼の冴えない中年男かと思いきや、殺し屋の魔の手を“偶然”と云う神がかったスキルで回避。かと思えば、変装を兼ねて見違えるような男ぶりになってからはド近眼を忘れて、キレキレのアクションを披露! これはまさに溝呂木の殺人哲学を証明するかの如くな覚醒! いったい何者だよあんた!(笑)
日本映画で最も007シリーズに近い映画です
税金のくだり笑った
1967年岡本喜八監督作。主演仲代達矢。
噂に聞いてたがこれは凄い。すっとぼけたユーモアとラディカルな編集など要所でコミカルな映画を装っているが、実態は岡本喜八の(毒)の部分を濃縮還元したような内容。ジャンルを超越したような趣きもある。ブラックジョーク・不条理コメディ・どんでん返しサスペンス・ハードボイルド、全て詰まってる。
なんと言っても仲代達矢の正体不明さを最大限に活かした主人公のキャラが素晴らしい。ちょっと何を考えてるのかわからない顔なんだよね仲代達矢。対する天本英世の怪演(というかいつもこんな感じだけど)も良い。団令子の色っぽさも実にいい。
岡本喜八だけに戦争の影もあり、ヒトラー演説を被せてくるシーンなども。色んな意味で濃い一作です。必見。
個性派揃いの殺し屋達。 それを束ねる怪しすぎるほどの天本英世。 冴...
日本映画の隠れた宝
全21件中、1~20件目を表示













