「追悼・宍戸錠」殺しの烙印 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
追悼・宍戸錠
タクシー運転手をしていた春日(南廣)。彼もまた殺し屋だったのだが、ミスしたことによりランキングから外れてしまった。そして花田(宍戸)に仕事を世話してくれと頼むシーンから・・・仕事は、ある組織のVIPを護送する内容。“お客さん”などと呼んでいたから、タクシーの癖で客を拾ってしまったんじゃないかと勘違いしてしまった。それもどこかの評にカルト作品と書いてあったせいだ(笑)
その護送の仕事も他の殺し屋から狙われっぱなし。お客さんまでもがドンパチに加わることに違和感があったのだが、後半になって氷解。殺し屋の世界ではナンバー1は謎の人物とされており、ランキング内でもごくわずかの人間しか知り合いではないのだ。ナンバー2、ナンバー4の襲撃を受け、春日は殺されてしまう・・・。
着々と仕事をこなす花田であったが、最後の一人、外国人の襲撃に失敗。謎の美女・中条美沙子(真理アンヌ)の依頼に応えることができなかった。そんな美沙子に惚れてしまった花田だが、妻(小川)からも命を狙われ、美沙子の家へと逃げてゆく。
ナンバー1が誰なのかわからないまま、命を狙われ続ける花田。やがて美沙子が拉致され、殺し屋たちとの直接対決。そしてナンバー1がついに名乗ってきたのだが、それが護送したお客さんだったわけだ。彼は美沙子の部屋に住みついた花田のもとに現れ、奇妙な共同生活を始める。ついにボクシング会場で対決することになるが、相討ち。しかも、包帯だらけで現れた美沙子まで撃ってしまう。
共同生活を始めるまでは普通のギャングアクション映画といった感じで、ところどころにヌーベルバーグ作品を感じさせる編集がなされている。小川とのエロいシーンも満載で、真理アンヌのヌードもある。殺し屋稼業という非情な世界なのに、周知の妻がいることも不自然だし、共同生活をするナンバー1の大類(南原宏治)のキャラが可笑しすぎる。クールなはずが、互いに拳銃で撃ち合わないストイック生活のためか、小便をもらしても平気な奴なのだ(笑)。日活のヒーローものとは違い、みんな死んでしまうところは評価できるが、この難解作品のため日活をクビになったとは・・・鈴木清順。