「暴力を上品に撮っている」GONIN ゼリグさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力を上品に撮っている
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サーガが出たので記念に。
撮り方が良いですね。
三屋が服を脱いでいくシーンが始まり、「たぶん監督はこのワンカットで本木を全裸にするんじゃないかな」と思って見ていると本当に最後の最後で全裸になる。
北野武監督の「あの夏、いちばん静かな海。」で、「たぶんゴミ収集車降りてサーフボード取りに戻ってくるんじゃないか」と思って観てたら本当に戻ってきた、あのシーンを思い出しました。
やっぱり、そういうもんなんですね。
ジミーが拷問を受けて、ナミィーが犯されるシーンを延々とロングショットで撮ってますが、とても良い撮り方だと思います。
あれ、平凡な監督だったら多分もっとカメラを寄せて、暴力的に、いやらしく撮っていると思うんです。
もしくは全てを省略してしまうでしょう。
あの距離感は、絶妙な撮り方だと思います。
荻原の家のシーンでも、荻原が殺した家族の顔を出来る限り見せないようにしているのが良いですね。
風呂場で死んでいる奥さんの顔も、ちらっと見えるだけでアップの顔は撮られていないですし。
荻原の妄想である、生前の顔はアップでしっかり撮られているので、これは極めて良い撮り方だと思います。
荻原を尊重していますね。
それに、どうやって殺したのか、なぜ殺したのかを下手に説明せずに、惨劇の痕だけを見せて、観ている側に想像させるのみなのも良いですね。
個人的に、事務所に金を盗みに押しかけるシーンの、机の上を走るショットは疾走感があって大好きです。
いやあ、傑作ですね。
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