劇場公開日 1967年4月15日

古都憂愁 姉いもうとのレビュー・感想・評価

全1件を表示

4.0古都憂愁 姉いもうと

2026年1月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

監督三隅研次は、市川雷蔵主演の「眠狂四郎シリーズ」、「大菩薩峠」、剣三部作(「斬る」「剣」「剣鬼」)、勝新太郎主演の「座頭市シリーズ」等の時代劇が有名な大映京都を代表する名職人監督なのだが、実はそれら時代劇映画とは異なる当時の大映看板女優陣による女性映画「婦系図('62)」「女系家族('63)」「雪の喪章('67)」「古都憂愁 姉いもうと('67)」「なみだ川('67)」等の時代劇作品とは似ても似つかない繊細な女性心理を取り扱った映画をかなり手掛けている。特に本作「なみだ川」と「古都憂愁 姉いもうと」の二本は同じ主演女優(藤村志保、若柳菊)を姉妹役に迎えての下町を舞台にした人情味溢れる家族愛、姉妹愛を繊細なタッチで描いた愛すべき佳作であり、この監督の奥の深さ、才能の豊さに驚かされてしまう。
本作は江戸時代を舞台にはしているが日本橋の庶民生活を描いた作品であり、所謂チャンバラ映画ではない。姉妹篇とも言える「古都憂愁 姉いもうと」の方は現代の京都、老舗料亭におけるプロフェッショナルな技の世界を描いた作品でもあり、映画職人の三隅が料理職人の技の世界に如何に共鳴していたのかが伺いしれて興味深い。
また両作品に共通しているのは仕上がりの美しさであり、東京目黒や下町京都の風情溢れるロケ撮影もさることながら、屋内セット撮影における思わず目を奪われるような実物観、存在感溢れる美術、装置、衣裳とそれらを最大限に引出してフィルムに収める為の光と影を駆使した照明技術、着物や京料理を鮮やかなカラーで捉えた色彩設計の見事さなのであり、これら技術力の高さは、1950年代初頭以降、黒澤明、衣笠貞之助、成瀬巳喜男、溝口健二等の名匠、巨匠たちの世界映画史に残る数々の名作群を支えてきた世界最高レベルのスタッフ陣の為せる技なのであり、総合芸術たる映画とはどういうものなのかを語る上での格好例とも言える。
1960年代以降の2本立てプログラム・ピクチャー時代の大映作品は、僅か70〜90min程度の上映時間の作品が多いが、物足りなさなどは皆無であり、緊密なシナリオ構成に圧倒されることが多く勉強になる。現代の映画の上映時間(140〜160程度の作品が大半)は、余りにも長過ぎて緩慢で無駄が多過ぎるものが多い。それらを如何にして切り捨てていくかについて、これら過去の作品を参考にして再考すべきであると改めて感じた次第です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ナオイリ