「科学を扱う人類のモラルを問う」ゴジラVSビオランテ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
科学を扱う人類のモラルを問う
ゴジラ・シリーズ第17作(VSシリーズ第1作)。
Blu-rayで久しぶりの鑑賞。
前作に続き、ゴジラと人類の攻防をシミュレーション的に描きつつも、人間のアクション・シーンや新怪獣ビオランテとゴジラの死闘などを散りばめ、よりエンターテインメント性を濃くしたストーリーが光る娯楽大作に仕上がっている。
メジャー級の俳優陣が豪華共演し、物語に華を添えていた。特筆すべきはVSシリーズに共通して登場する超能力者、三枝未希の初登場。ヒロイン的立場では無いものの、ゴジラと直接対峙する見せ場もあって今後に期待が持てる活躍だ。
こちらも初登板となった川北紘一特技監督の演出による特撮シーンがとにかく素晴らしい。ダイナミックな構図や演出が効果的に作用する場面の連続で、火薬量も申し分無しだ。
お気に入りなのが大阪ビジネスパークでのゴジラとスーパーXⅡのバトル。スピーディーな演出が凝っていて何度観ても手に汗握る。権藤一佐の死も相まって好きなシーンである。
ビオランテ(植獣タイプ)の操演もアナログ特撮ならではの味わいがあった。植物怪獣なのに、この巨体が突進してくるのかと云う意外性もありつつ、撮影現場の苦労が忍ばれる。
ゴジラ細胞を巡るバイオ・メジャーと大国の暗闘、バイオ・テクノロジーが孕んでいる倫理的な側面などを通して、科学技術を扱う人類のモラルが問い掛けられていた。
ゴジラ・シリーズは、その時々の時事問題を取り入れ、都度警鐘を鳴らして来た。ゴジラそのものの持つテーマ性が、それを容易にしているのかもしれないと改めて感じた。
[余談]
本作のプロットは一般公募されている。プロットが採用された小林晋一郎氏は、過去にも「帰ってきたウルトラマン」にシナリオを応募し、見事採用された経験があるとのこと(第34話「許されざるいのち」)。同エピソードには、遺伝子操作によって誕生した怪獣レオゴンが登場する。
[以降の鑑賞記録]
2020/04/17:Amazon Prime Video
2021/02/20:Netflix
2021/12/31:日本映画専門チャンネル(4Kリマスター)
2024/10/06:Ultra HD Blu-ray(4Kリマスター)
※リライト(2023/10/29)
※修正(2024/10/06)
> プロットが採用された小林晋一郎氏は、過去にも「帰ってきたウルトラマン」にシナリオを応募し、見事採用された経験があるとのこと(第34話「許されざるいのち」)
へええ。たしかに相通じるところがある話ですね。動物と植物の融合か…