劇場公開日 1955年4月24日

「続編の急造作なれど」ゴジラの逆襲 五社協定さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0続編の急造作なれど

2014年6月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

楽しい

前作が「戦争を引き摺った戦後」が裏テーマだとしたら、本作は「戦争を生きた世代の復興(高度成長の発端)」ではないか。

戦後最盛期となった沿岸漁業会社が物語の中盤まで舞台であり、魚影捕捉に航空機を投入して、物的・質的に途上段階ながら、機械で全て賄う以前の「人の力」が如何に重要かを垣間見る事が出来る。

その後のシリーズでも一切登場しない、「会社の華やかな宴会」が登場するのも高度成長期だなぁと思わせるシーン。

主人公は飛行士・月岡(小泉博)、同じく小林(千秋実)と、月岡の恋人であり・社長令嬢で・無線係の秀美(若山セツ子)が本作を引っ張る面々だが、小林が何かとツキがない。

冒頭で不時着したかと思えば、ゴジラ対アンギラスの戦いに巻き込まれたり、大阪本社壊滅で北海道支社に飛ばされたり、挙げ句の果てには神子島に上陸したゴジラの白熱光(放射熱線)を浴びて操縦していた飛行機ごと墜落死…それに伴い発生した雪崩がヒントになって、雪崩を連続的に引き起こしてゴジラ生き埋める作戦が実行されるワケだが。
とすれば、命を犠牲にしてゴジラ退治すると言う点では前作の芹沢博士と小林は同等か…脚本も同じ香山滋だし。

生き埋め作戦を実施する防衛隊が終盤のストーリーを転がすワケだが、月岡自身が戦中所属していた航空隊の面々(直属の隊長・同僚)に小林の仲介で10年ぶりに月岡が対面するまでは良いが、
その後、月岡と小林が本職そっちのけでゴジラ探索・監視したり、月岡が昔の誼で爆撃機操縦して小林の敵討ちまでするのは少しぶっ飛び過ぎの様な気がする。

まぁ、監視・爆撃に加わらないと主人公の必要性がなくなるから仕方ないか。

前作の主要登場人物で山根博士が本作でも対策会議のシーンの場だけに登場するがオープニングレジットは主要キャスト3名に並んでトップ。
序列の問題があるにせよ出演シーンの数から考えてトメで「特別出演」で良かったのでは?

スタッフでは本編監督 本多猪四郎・音楽 伊福部昭に代わって小田基義と若き日の佐藤勝が登板。
円谷英二に「特技監督」の称号が付いてタイトルクレジットも監督の1つ手前(これが50年間続く東宝映画の定番になるのだが)。

今回は相手怪獣としてアンギラスも登場するが、初っ端からゴジラと対決した状態で登場し、大阪では噛み付き合い合戦。

フィルムの早回しで対決するシーンが多いが、獰猛さと言う点で正解だと思うし、後の怪獣プロレスに比べれば、噛み付き合いは肉食生物的には納得の展開。

ゴジラが前作よりシャープな造形になっているし、模型やギミックにある程度、顔に統一感を持たせたのは評価したい。
アンギラスも怪獣総進撃以降の穏やかな顔つきじゃなく肉食獣そのもの。

制作の田中友幸プロデューサーをして「時間がなかった」と言わせた無理矢理突貫製作作品だが、シリーズ化された映画の第2作は大体、
大ヒット⇒急遽、続編製作
だから、月岡の爆撃機操縦以外はまぁまぁ良い出来。

前作の様な暗い根詰めた理屈っぽい話ではなく、どちらかと言えば人情話と言ったところか。

ともあれ、東宝は特撮映画は儲かると判断し、いち早くカラー化やシネスコ化を進め、次作までの間に大量の特撮映画が製作される運びに

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五社協定