劇場公開日 1955年2月12日

「良質の音楽映画」ここに泉あり kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良質の音楽映画

2019年12月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭の蒸気機関車C50の映像がすごい。人々は客車のみならず、屋根の上、窓から乗り出し、無茶苦茶な乗車率なのだ。貴重な映像ドキュメントとして、これだけでも満足(おいおい)。

 高崎市民フィルハーモニーは細々と学校や田舎を巡業。ロクな入場料も取れないまま、楽団員の給料も半年に1回という始末だ。一応専業のミュージシャン達とともに、医者やパーマ屋の主人など、バイトがてらに参加している者も多い。小学校では児童は誰も音楽など聴いてないし、中にはケンカを始める児童もいた。

 1年後、速水とかの子は結婚。相変わらず貧しい生活の中で楽団を続ける。病院慰問コンサートの最中に難産の末、無事出産したかの子。楽団も10人未満のまま、速水は才能教育で月謝を稼ぎ、コントラバスの工藤(加東大介)をはじめとするメンバーたちはちんどん屋をやって小銭を稼ぐ。金に困った団員の一人が他人の楽器を質に入れるまで追い詰められていたくらいだ。そうして楽団は解散へと追い込まれ、山奥の分教場で最後のコンサートを開くことになった。そこでの子ども達の反応は素晴らしいモノ。今までにない感動を楽団員のほうがもらうことになる。最後に演奏されたのは子供たちが一緒に歌う「赤とんぼ」。コンサートの帰り路、山奥から聞こえてくる「赤とんぼ」には涙なしでは見られない。

 数年後、ゲスト出演している指揮者の山田耕作が再び高崎へ降り立ち、楽団が未だ存続していることに驚く。その練習場で指揮者としてタクトを振る。そして、再び東京管弦楽団との合同コンサート。最後にはベートーベンの第九交響曲合唱付きで締めくくる。

 終盤は蛇足とも思えるほどで、実話をベースにしているから仕方ないことだけど、「赤とんぼ」を聞きながら再起に向けて決意するシーンで終わりのほうが感動できる。

kossy
kossyさんのコメント
2021年4月3日

ここに泉アキ!
なんてギャグはもう誰にも通用しないですよね・・・
古きを温ねて新しきを知る。
やっぱり、名作といわれている作品だけは知らないといけないな~と思ってるわけですが、チェックするのも大変。死ぬに死ねません・・・
老後にはぜひきりんさんもチャレンジしてください!

kossy
きりんさんのコメント
2021年4月3日

「ここにkossy あり!」。
どんなに大昔の映画でも、どんなにマイナーな映画でも、いずこにもkossy さんのお名前発見で驚愕しています(笑)

弟がかつて高崎芸術大学で楽しく音楽をやっていたのでその関連でこの映画を検索したわけですが、kossy さんが先客でしたねー、
ホント映画お好きなんですね
尊敬です。😍

きりん