憲兵
劇場公開日:1953年4月22日
解説
ベストセラーとなった宮崎清隆の富士書房版原作を「絵本猿飛佐助」の井手雅人が脚色、「アチャコ青春手帳 大阪篇」の野村浩将が監督した。撮影は「離婚」の山中晋、音楽は「親馬鹿花合戦」の古関裕而である。スタンバーグの「アナタハン」に出演した新人中山昭二を主役に、「乙女の診察室」の岸恵子、「ひめゆりの塔(1953)」の藤田進、「姫君と浪人」の堀雄二、「韋駄天記者」の三浦光子の他、片山明彦、小沢栄、安部徹、米人ファーネスなどが出演している。
1953年製作/100分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1953年4月22日
ストーリー
漢口憲兵隊宮崎曹長は、憲兵学校でたての若手ながら「脱走兵検挙や軍内不正の摘発にしめした凄腕で、はやくも駐屯部隊、市民らの恐怖のまととなっていた。彼はある日二人の暴漢におそわれた姑娘をすくったが、彼女が漢口陸軍病院の特志看護婦葉白蘭であることを知ったのは、敵諜報員のアジトを襲撃中負傷、入院してからであった。彼女の甲斐甲斐しい看護もうれしかったが、一方婦長山田ひろ美の優しさに彼はほのかな慕情をおぼえるようになる。葉白蘭はいつか姿をけした。退院後宮崎は、とあるキャバレーでダンサア姿の彼女にゆきあう。結婚して重慶へにげようとせがむ彼女の処置に、さしもの鬼憲兵もとまどいした。上官長田中尉の指揮で潜入CC団幹部をおそい、逮捕した宮崎らは、やがてその監視の任につく。彼らを媒ちとして重慶側の情報は漢口憲兵隊につつ抜けであった。数ヶ月たつが、宮崎は監視に詰めきり。時にひろ美と手紙のやりとりをするくらいが、外部との唯一の接触である。そんなある日、不意をついて現われた葉白蘭は宮崎にピストルをつきつけ、CC団の脱出をたすけた。重慶側の諜報員がその正体であった。しかし、CC団が縛された宮崎を殺そうとするや、彼女ははげしくその前に立ちふさがるのである。--昭和廿年夏。終戦とともに重慶側の戦犯追求の手は、折しも大腸カタルで入院中の宮崎のもとにまで及んできた。重慶軍の監察官は首実検のため葉白蘭を伴っていたが、宮崎のベッドの前で彼女は首を横にふる。しかし病院附軍医の心ない一言で発見された宮崎が、護送車に今やかつぎこまれようとする瞬間、彼女は愛人を射ち、次の弾を自らの胸にうちこんだ。