劇場公開日 1952年8月6日

「新藤音羽コンビ」原爆の子 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新藤音羽コンビ

2019年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 めくらの岩吉さんは孝子の家で働いていた老人。顔は焼け爛れ、薄明かりを頼りに乞食をして生きている。生き残った孫を孤児院に預けざるを得ない状況に胸が痛む。その後幼稚園で一緒に働いていた夏枝を訪ねたが、原爆の影響で子供を生めない体になったと告げられショックを受ける。アルバムを見て懐かしく思い、かつて園児だった三平、敏子、平太の三人の教え子を訪ねることにした。三平を訪ねたところ、丁度父親がピカの影響で臨終する現場に出くわしてしまった。また、敏子は原爆症で教会で介護を受けていた。平太の姉は原爆の日に足を怪我したまま障害が残ったが、婚約者からは予定通り結婚しようと言われ、ようやく幸せを感ずることができた孝子であった・・・

 戦争、原爆の爪痕は障害、貧困、病気を植え付けていったが、人間の心までは奪えなかった。真摯に生きる姿と相互扶助、人間信頼の心を感じ取った。三平の作文には稚拙な文であるのに衝撃を覚えるほどの訴えがあり、心打たれました。できれば、他の子供たちの作文も掲載してほしかったかな。

 もっとも感動するのは平太の姉の嫁入りのシーンだったし、ラストの宇野重吉の乞食小屋が燃えるシーンでは、ひょっとして自殺の意図もあったのではないかと思われたので、ちょっとだけ評価がマイナスとなってしまいました。

kossy