劇場公開日 1971年8月14日

「沖縄が流した血」激動の昭和史 沖縄決戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5沖縄が流した血

2017年12月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

“東宝8・15”シリーズ第5作。
監督・岡本喜八、脚本・新藤兼人、キャストに小林桂樹、丹波哲郎、仲代達矢ら豪華な布陣。
1971年、沖縄返還協定調印時に公開され、沖縄の悲劇を描いた戦記大作。

太平洋戦争末期。各地で玉砕・陥落続き、次の標的は何処か。
本土防衛の要として、大部隊が沖縄に着任。
かくして、それを上回る米軍の大部隊が上陸する…。

脚色や創作が加えられてるが、史実が基。
実録映像やナレーションで語り進められていくドキュメント・タッチ。
豪華名優たちによる劇ドラマは軍視点。
同監督の『日本のいちばん長い日』ほどシリアスではなく、スケールもデカく、派手な爆発の見せ場もあり、お馴染みの特撮もありでエンタメ色も濃い。

一般市民の描写がユーモアも加味。
それがまた悲劇との対比。
戦争は沖縄県民をも巻き込む。
集団で手榴弾で自殺。死に損ねた者はお互いを殺し合う。
野戦病院で多くの負傷者と自決。
その光景はゾッとするほど凄惨。

8・15に終戦。日本各地深刻な大被害を受けたが、本土上陸・侵攻は免れた。
…が。
米軍の侵攻に対し軍が沖縄を守り、戦ってくれると信じていたのに、県民も戦争に駆り出され、多くの血が流され、沖縄は占領された。

自分は沖縄に行った事は無いが、日本でありながら南国気分を味わえる“陽”のイメージ。死ぬまでに一度は行ってみたい。
その土の中には大量の血が染み込み、県民の記憶に深い傷痕を残した。
今も新たな問題も。
沖縄の悲劇はそう簡単には癒えない。

近大