黒い雨のレビュー・感想・評価
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原爆による惨状とその後
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総合:80点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
服が吹き飛び、焼きただれて溶けた皮膚が垂れ下がった怪物のような人が、いきなり弟ですと言って声をかけてくる。被爆直後の広島の町の悲惨な様子は衝撃的だし、それを隠すことなく見せてくる。
戦争が終わって何年もたつのに原爆の後遺症で次々に死んでいく身近な人々と、差別に苦しみ嫁のもらい手もなく傷つく女と、彼女の幸せを見届けることが出来ない叔父夫婦の姿は、観ていていたたまれなくなる。自分は大丈夫と信じていたのに周りの人が発症し、自分もいつか発症するのかと不安に苛まれていく。もしかするといわれなき差別と思っていたものは実は正当性があって、間違えていたのは自分のほうかと思わせるのは絶望的だ。そんな悲惨さと怖さがしっかりと伝わってきた良作だった。戦争で気が狂った元兵士や変な祈祷師も雰囲気を作っている。
ただし、白黒映像なのはどうだろうか。これで古さや陰鬱な雰囲気を出すことが出来ると考えたのだろうし、それはある程度成功している。それに天然色ではっきりと撮影してしまうと、きのこ雲や被爆者の姿が綺麗に出すぎてしまって特撮がばれてしまうのかもしれない。でもやはり観辛い。
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