「みんなみんな死んでしまった」黒い雨 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなみんな死んでしまった
原爆投下時に直接の被爆は免れたものの、その後の放射性物質を含む黒い雨に打たれた為に放射線障害を発病する若い女性を描いた、井伏鱒二さん原作の「黒い雨」を今村昌平さんが映像化した作品です。もう、今から35年も前の映画なんですね。
今村監督は勿論、北村和夫さんも、市原悦子さんも、小林昭二さんも、三木のり平さんも、大滝秀治さんも、皆さん戦争を生き抜いて来た人々であり、淡々と物語が進むスクリーンの奥から皆さんの静かな怒りと祈りが噴き出して来るのを感じます。そして、どなたも今や亡き人なのです。残された我々はその祈りをどの様に伝えて行けばよいのでしょう。そもそも、それは可能なのでしょうか。
そんな中、出演者中で数少ない戦後生まれが主演の田中好子さんなのですが、彼女も今や冥府の人である事が何とも痛々しいなぁ。
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