「ひでーなと呆れつつ、でもなんか面白い なんか凄い、気がつけば引き込まれている そういう映画です」狂った野獣(1976) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ひでーなと呆れつつ、でもなんか面白い なんか凄い、気がつけば引き込まれている そういう映画です
なんじゃこりゃ!
まさにB級アクション映画の珍品
「狂った野獣」というタイトルではどんな映画かさっぱり分からない
ワンマンで知られる東映の岡田茂社長がそう決めたという
準備稿段階の「激突!バス・パニック」の方が、ずっと内容が分かりやすい
京都を舞台にしたバスジャックの映画
市内をアチコチ本当に走り回るから、京都に土地勘があれば一層楽しめる
ただしクライマックスは滋賀県堅田市の、2001年に閉園したびわ湖タワー遊園地
なのでラストシーンで、渡瀬恒彦の主人公とその彼女が泳ぎだすのは琵琶湖西岸の湖水だ
一体あのシーンに何の意味が有るのだろう?
だから「狂った野獣」なのかも知れない
1976年公開
バスが銃弾で蜂の巣になる「ガントレット」は1977年
二階建てバスでのアクションが有名な「ポリス・ストーリー/香港国際警察」は1985年
ノンストップのバスの「スピード」は1994年
だから本作は圧倒的に早い
1979年から放映開始された「西部警察」には影響を与えているのかも知れない
京都でバス運転手が運転中に意識不明になり、バスが横転した事故をヒントにしたそうだから、完全にオリジナルなアイデアだ
荒削り、むちゃくちゃ
細けぇこたぁいいんだよ!
B 級アクション映画は勢いだよ!アニキ!
ひでーなと呆れつつ、でもなんか面白い
なんか凄い、気がつけば引き込まれている
そういう映画です
興行スケジュールに穴が空きそうになったので、急遽無茶な低予算で超短期間で何か撮れと言われとか
その割になかなかの迫力とスケール感を出しているのが凄い
二重にバスジャックされるのは面白い着想だ
主人公の彼女役の星野じゅんは、スタイルも良く顔もそこそ
ジーンズに革ジャンでナナハンの大型バイクを乗り回すのは、映画的な絵になっていてかなり良いのだが、演技も台詞もダメダメ
彼女が一人前に演技ができたなら、脚本ももっと彼女を活躍するようなものにできていたはず
渡瀬恒彦を喰ってしまうような、存在感を示せていたなら傑作になっていただろう
残念で仕方ない
カルト映画を観たという少しの満足はある
三上博が登場して歌うものまたカルトだ
DJ の女性はりりィだ!これこそカルトだ
「私は泣いています」は1974年のヒットだった
2000年に起きた西鉄バスジャック事件の未成年の犯人ネオ麦茶は、本作を観ていたのだろうか?
そんなことがある訳無い
こんな映画があることも彼は知らなかったろう
なにしろ彼の生まれる前のカルト映画なのだ