劇場公開日 1964年2月16日

駆逐艦雪風のレビュー・感想・評価

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4.0オタクなら必ず観るべき作品といえます

2025年3月21日
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鑑賞方法:VOD

駆逐艦 「雪風」
1964年2月16日公開
松竹配給、カラー作品
戦争映画ながら松竹配給という珍しい作品です
なので、戦争映画ながらほんわかとした松竹らしい映画のあじわいのある作品となっています
駆逐艦というのは戦艦や空母が横綱なら前頭くらいの艦隊の中で、主力艦に随伴して洋上で戦闘できる一番小さな方の船です
大砲はあっても民間船ならまだしも戦艦やら巡洋艦と比べると豆鉄砲でしかありません
しかし、一撃必殺の魚雷という兵器を装備していて、それを上手く当てれば戦艦も空母も沈められる侮れない戦闘艦です
魚雷というのはさしずめ水中ミサイルみたいなものです
但し当時のことですから無誘導なので、そうそう当たりません
太平洋は広くいくら艦艇があっても足りません
なので駆逐艦は太平洋戦争では沢山建造され主力艦船の護衛やらなにやらと休む暇もなく戦場の犬の様に縦横無尽に駆け回りました
小さい艦なので惜しげもなく、どんどん危ない戦場に出撃を命じられました
なのでその分沢山沈められました
そんな中でこの雪風だけは幾多の激戦に参加したにもかかわらず、終戦まで生き残った奇跡の駆逐艦として有名なのです
なので一般人にまで旧海軍の艦船で名前を知られているのはせいぜい戦艦大和ぐらいですが、軍事マニアの間では大和に負けないほどの有名な艦です
最近雪風の名前をよく見かけます
ゴジラ-1.0 にも登場しました
わだつみ作戦の指揮官は元雪風艦長という設定でした
本作のラストシーンはゴジラ-1.0 と同じ1947年です
物語は1939年佐世保海軍工廠での雪風の進水式から始まります
そして幾多の海戦を経て終戦後の1947年に賠償艦として中国(中華民国今の台湾)に引き渡されて日本を去るまでの8年間海軍工廠の工員の時代から雪風に関わった長門勇が演じる水兵の目を通して語られます
長門勇はテレビ時代劇の三匹の侍でブレイクしたばかりの旬の人気俳優でした
水兵といっても烹炊兵というコックです
なので戦闘シーンはあることはありますがかなり少ないです
それでも特撮が思いのほか良く戦艦大和に随伴しての海戦シーンなどは東宝や東映の後の作品と比べてもなんら遜色ないものです
遠距離から見える艦船の見え方についての理解も良く、戦艦大和のシルエットはデフォルメもなくかなり正確で、東宝や東映の戦争映画を上回っているほどです

なにより実写の艦上や洋上シーンがすごい!なにしろ防衛庁協力と冒頭にでるくらいなので戦後の海上自衛隊の護衛艦で撮影されておりリアリティというか本物の迫力が半端ありません
海上自衛隊は1954年創設ですから、本作の製作はその創設10年を記念してのものでしょう
戦後の自衛艦隊の勇姿も挿入されます
戦後生まれの駆逐艦戦隊や米軍から供与された潜水艦などもチラリと映ります
雪風の幸運にあやかりたいとの願いが込められたものでしょう
本作前年の1963年はキューバ危機で米ソ冷戦のまっ最中、朝鮮戦争が停戦してまだ9年だったのです
いつまた戦争になるかわからないそんな時代だったのです
そして本作から60年たった今の海上自衛隊も雪風の幸運にあやからないといけないような昨今です、現代の駆逐艦はFFM という高性能な新鋭のものが最近急速に建造されています
もがみ型といって、小型ながら未来的な設計で超高性能だと国際的にも注目されています

そして本作公開から10年後は1974年です
それにピンと来ないとオタクと言えません
その年にはテレビアニメ宇宙戦艦ヤマトの放映開始がありました
本作の沖縄特攻の天1号作戦シーンで艦隊司令部から撤退を命令されてもなおも戦おうとする艦長のくだりはヤマトの第1話の冥王星沖海戦の名シーンの元ネタになったものです
海軍生活の日常やら、岩下志麻の演じる雪風艦長の妹との身分違いのロマンスシーンもあり、全く退屈しません
母親が面会に訪れるのは呉基地かと思います
弟の特攻隊は飛行機ではなく、回天と言っていますから、映画にもなった人間魚雷回天での特攻です
空母撃沈の戦果とか言ってますが、そんなのは嘘で、回天はそんな華々しい戦果は結局挙げれませんでした

ゴジラ-1.0 のわだつみ作戦指揮官は元雪風の艦長という設定でした
その駆逐艦雪風の映画です
あの設定は強運な艦雪風の元艦長だから、きっとうまくいくと希望を持たせる為のものだったというわけです
雪風自体YUKIKAZE と表記された駆逐艦として登場していました

そして宇宙戦艦ヤマトの宇宙突撃駆逐艦雪風の元ネタでもあります

と言うわけで、オタクなら必ず観るべき作品といえます

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あき240

0.5すげー映画だ。

2023年4月7日
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鑑賞方法:VOD

すげー映画だ。

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マサシ
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