「最後の事件…最終作にして異色作!」病院坂の首縊りの家 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の事件…最終作にして異色作!
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金田一耕助シリーズ(石坂浩二主演版)第5作。
DVDで鑑賞。
原作は未読です。
最終作であると同時にいちばんの異色作でした。
冒頭から様子が異なっていました。黒バックに明朝体のクレジットが印象的なオープニング・シークエンスが無かったからです。ジャズ・バンドの演奏シーンに被せてキャスト・スタッフがクレジットされ、石坂浩二はトメ。字体も明朝体ではなくゴシック体。いつもと違うぞと、期待半分・不安半分…
ディスカバリー・ジャパンを標榜し、日本人の根底に息づいているものを浮き彫りにするような印象でしたが、本作では先述通りジャズ・バンドが登場し、舞台も東京の住宅街。何より金田一耕助が渡米する前と云う設定なので、戦後急速に普及し始めた欧米要素が強調されているなと思いました。
異色作ではあるものの、事件の奥底にあったのは、複雑怪奇な人間模様と愛欲にまみれた悲しみのドラマでした。一族の秘密が炙り出されていく展開はさながら「犬神家の一族」のようで、シリーズが一周回って最初に戻って来たみたいでした。
市川崑監督としては、本作を最終作としながらも本当はまだシリーズを続けたくて、敢えて新展開を彷彿とさせる演出をしたのではと思いました。いつでも再スタート出来るように…
思惑に当時の最新刊であった原作がピタリと当てはまり、話題性も充分だしちょうどいいんじゃないか?―と云うことになったのかなと、そんなことを考えてしまいました。
※鑑賞記録
2022/08/06:Amazon Prime Video
※修正(2022/08/06)
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