劇場公開日 1954年4月27日

「活劇的な見せ所を作った」悪魔が来りて笛を吹く(1954) コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 活劇的な見せ所を作った

2025年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

失われたと思われていたものが、観られただけでありがたい。
とはいえ修復レベルは苦しく、画質はかなり厳しい。
ところどころ、セリフがガタつき、人物位置がワープするが、この辺はフィルムの保存状態由来だから仕方ない。
阪妻版『無法松の一生』(1943年)のリマスター状態よりはよほどいいし。

DVD発売のみで、Blu-rayがないのも、もちろん製造コストと見合う売上見込みが立たない問題が一番大きいとは思うが、この画質ではあまり意味がないから、という判断なのかもしれない。

他の千恵蔵版金田一をまだ観ていないから一概に言えないが、最後に推理を捲し立てて、犯人が「想像に過ぎない」「証拠がない」と言った後に、証人がずらずら出てくるのは、推理ものというよりは、時代劇映画のお白洲技法。

そして、原作とは大幅に変更されたラスト。
「銃刀法なにそれ?」とばかりに、金田一も犯人も拳銃を持っていて、銃撃戦。
あれ? 原作の服毒自害の余韻はどこへ?
まぁ、75年の西田敏行版も原作から乖離夥しかったから、変えることはいいのだけれども、ミステリー視点だと大味だなぁと。
少し考えてから、千恵蔵の活劇的な見せ所を作ったのだなと理解した。
これも時代らしさとして楽しめばよいか、と納得。

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コージィ日本犬