銀河鉄道の夜のレビュー・感想・評価
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理想を求め続ける姿
映画でも原作でも数十年ぶりの鑑賞。
前半の話を、蠍座の件から終わりへ向けてなぞり返していく綺麗な流れ。絵や音のセンスが凄く、変化に乏しく感じる表情や声も下手に感情移入させることなく客観的に観られて良かった。
宮沢賢治の作品は想像力と感受性に富む子供の時に読むのが一番良いと思う。ただ、この作品は大人になってようやく話の意図が見えてきた気がする。
昔は鳥捕りの男は何故存在しているのか分からなかった。しかし彼は大人である私だ。そしてジョバンニの父であり、ジョバンニが大人になった姿でもある。だからこそ、彼がいなくなった後にジョバンニは、「彼のことが嫌だった。でも彼と色々と話しておけばよかった」と後悔する。そしてその後、どこまでも一緒に行こうねと約束したカンパネルラ(理想の象徴?)を失い、代わりに父親(現実の象徴?)を得て日常へ戻って行く。ある意味王道の成長物語だ。
ただ、この話の深く切ないところは、宮沢賢治がジョバンニを肯定しつつも自分はカンパネルラでありたいと思い続けているところ。その確固としているけど儚いところに当時の死との距離感、人生の濃さを求める姿が垣間見える気がする。
なぜ猫の姿なんだ等と細かな事を考えずに、ただ見て感じて欲しい作品。
映画として面白くない
宮沢賢治の原作は読んでいません、しかし映画は独立の作品として原作を読んでいなくてもわかるものであるべきと私は思います。
ストーリーの展開が遅い、セリフまわしが遅い、意味不明のエピソードがやたらと続く。で、何度も眠くなりました。そもそも何でキャラクターを猫にする必要がある?
とてもよかった
劇場公開時以来で、急に見たくなって細野晴臣のサントラをアップルミュージックで聴いていた。当時はなんで猫なのだ?と媚びてる感じがして嫌だった。原作は3回くらい読んだ記憶があるけど、よく理解できないままだ。そして今回レンタルDVDで見たのだけど、すごく眠くなり3回に分けて見終える。眠くはなるのだが、とても上質な表現であることが分かる。途中でタイタニック号の犠牲者が人間の姿で人間として現れる。カンパネルラは死んでいて、ジョバンニのカンパネルラに対しての強い思いが夢を見させたのかな。だとするとシンプルな話だ。
天空をかけるロード小説。ますむら先生!ヒデヨシはどうしています?
有楽町のマリオンにある『朝日ホール』のこけら落としで見た。試写会ではない。
杉井ギサブロー先生と別役実先生と細野晴臣先生とは、最高の制作陣。
これは僕たけが言うことだと思うが。虫プロの『展覧会の絵』をリスペクトしている様に感じた。
ますむらひろし先生の原案とされているが、使われているのはキャラクターだけだと思う。しかし、彼の作品群は『銀河鉄道の夜』そのもの。
また『天空の城ラピュタ』の導入部の設定は『銀河鉄道の夜』たと思っている。
タイタニックの賛美歌306番はこの小説をリスペクトしている。
テーマは宗教を超えた自己犠牲。日本人の良い所。また、
ジョバンニのカンパネルラに対する思いは、友情を超えた愛を感じる。しかしそれでいて、
『人の死』を物凄く客観的描いていると感じる。ふたりの愛は感じるが。主人公の気持ちに、果たして、父に会える嬉しさは無かったのか?もう一度、見てみた。やっぱり、凄い。エンドロールの最後まで見るべし。答えが分かる。
何故?ドヴォルザーク交響曲第九番かも分かった。凄い。自己満足だが、小説、映画共に凄い。
原作は世界的な名作と僕は信じている。
追記
『千と千尋の神隠し』の世界は銀河鉄道だと思う。もっとも、ネットでもそう言われている様だが。
古い幻想絵本を見つけたような感覚
総合:75点
ストーリー: 80
キャスト: 70
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 75
何故猫になったのかはいまひとつわからないのだが、作品の持つ幻想的な雰囲気は良い。製作年が古いから、技術的に特別に洗練されている絵というわけではないが、絵本をめくっているかのような映像の描写が綺麗。それに付随する音楽も良く合っていた。銀河の旅というと一見幻想的であり未来的なのだが、原作の時代を背景にしているために懐古的な落ち着きがある。昔からある古本屋で懐かしい絵本を見つけたような感覚。
そして訪れる結末。宇宙空間の住人もいるけれども、結局銀河鉄道は現世とあの世を結び、死者を送り届けているのかなと想像している。悲しい物語のようだが、ジョバンニが去り行く親友カンパネルラとの最後の時を過ごす機会を持てたのは幸せなことだろう。
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