「今と確実に地続きなあの頃」キューポラのある街 またぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
今と確実に地続きなあの頃
舞台は1962年の川口市、戦後17年、私の生まれるたった2年前。吉永小百合や浜田光夫たちの長屋は貧乏で道も狭く舗装もされていない。自分のふるさとははるかに田舎なんだが、70年代初頭はまだああした景色が身近にあった気がする。ただそれも自分たちまでで、70年代80年代で全国的に大きく様変わりした町並み、今の若い人たちにはこの地続き感は伝わらないだろう。
映画は工業化の進展について行けない職人の父、日銭に困るが子沢山な家庭、高校に行けない、修学旅行に行けない家庭、朝鮮人差別、帰国事業など、当時ならではの社会課題と時代の風俗、景色を盛り込みつつ、主人公の明るい性格を中心に、或いは多少無理矢理に、様々な課題は概ね前向きな結論を持って完結する。
社会派とエンターテインメントの両立した、個人的に好きなタイプの映画でありました。吉永小百合もきれいだし。
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