劇場公開日 1962年4月8日

「自分をしっかりと持って生きる少女の成長物語」キューポラのある街 Koheiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自分をしっかりと持って生きる少女の成長物語

2020年11月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

終戦後の高度成長期を描いた物語である。令和の時代には考えられないような描写も多々あって興味深かった。差別表現も多々あった。良くも悪くも、時代は移ろっているということを感じた。それでも、なお、普遍的なメッセージを伝えてくれている。吉永小百合演じる主人公には、「自立」するということの意味を考えさせられた。たとえば、親からの「自立」ということに焦点を当てると、往々にして親に対する反発心が動機となりがちである。しかし、それだけでは、本当の意味での「自立」とはいえないのではないか。自分の人生を自分自身の足でしっかりと歩んでいくということは、親に依存しないという消極的なものにとどまらず、具体的にどうするのかという理想を描くところまでが重要である。主人公は、結果として、自分自身の頭で考えた上で、進むべき道を決めた。もちろん、(父)親に対する反発心もあるにはあったが、それだけではないところが素晴らしいのである。

Kohei